東京都品川区が舞台。主人公は旧東海道品川宿に2011年、古書店「街道文庫」を開業した田中義巳さん(61歳)。古書店の他に「街道歩き相談承り処」として、街道歩きを始める人への相談も募っています。品川に店を構えたのも田中さんが好きな宿場町だったため。
田中さんは仲間を集い、趣味で様々な旧街道を歩く会を主催しています。旧街道で古い道標・道祖神など、ポイントを見つけては本来の道を探り出そうと楽しんでいます。同じ目的を持った仲間と目的地に向かい、街道を歩く、そこで見たものに感動する、そんな田中さんの姿には明日への活力を感じます。
北品川、旧東海道の商店街に去年11月、「街道文庫」という古書店がオープンしました。売り場面積8畳、そこにおよそ1万冊の古本があります。
来店する街道好きなお客さんとも話が弾みます。この日は道の整備記念のお祝いの日で、田中さんも開業して初めて見る品川宿の御神輿の迫力に興奮気味でした。
品川にも詳しい田中さんに案内をしてもらいました。昔は漁師町だった北品川。過去に東京湾を埋め立てて作られた品川台場や、湾を埋め立てられ苦労した漁師達が信仰していた寄木神社。その本堂には区の文化財・入江長八の漆喰の鏝絵(こてえ)が描かれています。身近な場所でも歴史を感じることが出来るのが歩くことの楽しみです。
そして完歩会。募ったメンバー8人と塩の道(千国街道)を歩きました。松本駅から大町市まで1泊2日で40キロ歩きます。田中さんは記録係として写真を撮っています。牛つなぎ石、道標、道祖神、美しい安曇野の風景に触れ、街道歩きを楽しみます。宿に到着後、ひと休みと思いきや夕食後には勉強会を開催。さらに街道の知識を深めます。
田中さんは地域と繋がろうと月に1度、「品川のまち歩きマップ」など作成している「旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会」の会合に参加しています。品川宿を活気づけるアイデアを出し合う場、田中さんの豊富な知識は頼りにされています。
田中さんは、これからも品川宿をより良い街にし、街道の良さ・街並み・歴史を伝えるためにも「街道文庫」、街道歩きを続けて行きます。