房総半島にある千葉県大多喜町が舞台。主人公は2009年から横浜市との二地域居住を始めた平瀬康夫さん(63歳)と、厚子さん(63歳)ご夫婦です。お二人は大多喜町で米と野菜を作り、それを横浜市の自宅前に設けた直売所で販売しています。農的生活に無関心だった康夫さんですが、厚子さんが家庭菜園で野菜を作る姿を見ていて「自分は米作りをしてみたい」と思うように。定年前から米作りが出来る農地付きの民家を探し、大多喜町会所地区に見つけました。春の暖かな日差しの中、新鮮な野菜と米作りの様子をご紹介します。
購入した民家には約1,300坪の農地があり、康夫さんが作った田んぼ4枚と畑3枚があります。主に米作りは康夫さん、野菜は厚子さんが担当しています。家の目の前に田畑がある事が、この場所を気に入った理由の一つです。厚子さんは「広すぎる」と苦笑いしますが、「どうせやるならとことんやろう」と康夫さん。横浜の自宅前で販売する為、日曜日になると収穫するのが日課、その日のうちに横浜へ戻ります。
月・火曜日と横浜の自宅前で収穫物を販売します。住宅街にあるので殆どのお客さんは近所の常連さんばかり。安くて便利で安心と好評。この日は、ナバナやホウレンソウの他に、康夫さん一押しのシイタケのホダ木も並びました。通常のホダ木より小さくカットされ、お試し感覚でシイタケ栽培に挑戦できるとあって、次々に売れました。
この日、ジャガイモ植えをするご夫婦に強力な助っ人が。近所に住む宮崎さんご夫婦です。戦後に開拓された会所地区。宮崎さんは開拓者としてこの地に住む事62年だそうです。そんな助っ人のお陰であっという間にジャガイモ植えを終える事が出来ました。「二人を感心してみている」と開拓者である宮崎さんからお褒めの言葉を頂き、平瀬さん夫婦はただただ恐縮するばかりです。
康夫さんは定年帰農をする仲間を増やし、繋がりを持とうという活動をしています。この日、千葉県内から3組のお客さんがいらっしゃいました。定年帰農を実践している方やこれから定年帰農を始めようという方々です。平瀬さんご夫婦の田畑を見学し、意見交換やアドバイスを求めていました。「もっと仲間を増やして協力し合っていきたい」。充実した表情の中に「まだまだこれから」という力強い気持ちがこもっていました。