長年に渡り江戸の人々の喉を潤してきた玉川上水が流れ、緑豊かな自然残る東京都小平市が舞台。うどん打ちの趣味が高じ、2008年、手打ちうどんと蕎麦の店「めん処・松根」をオープンした松根典子さん(71歳)と妻を支える夫、滋廣さん(74歳)が主人公です。
専業主婦として家族を支えてきた典子さん。48歳の時、「武蔵野手打ちうどん保存普及会」に入会すると、うどん打ちに夢中になりました。その後、蕎麦打ち講習会にも参加。その後、うどん打ちと蕎麦打ちの講師をするほどの腕前になっていた典子さん。友人に、お店を開いたらどうか、と提案されます。
家族や周囲の仲間が背中を押してくれた事で一念発起、2008年「めん処・松根」をオープンしました。
東京に出来た小さなオアシス。大好きなうどんと蕎麦に愛情を注ぐ松根さんご夫婦の物語です。
店の大家である森田光江さんの庭の一角に典子さんの店はあります。花の咲く時期になると、周りに花々が咲き乱れ、訪れる人を魅了します。森田さんは庭の畑で野菜を育てていて、いつも、天ぷらの食材として分けてくれます。
この日は、小松菜と春菊を一緒に収穫しました。
お店で出すうどんは、毎日典子さんが手打ちします。塩を水に溶かし、それを段階的に粉に加え混ぜていきます。湿度や気温で水の分量が変わるので、この作業が一番重要だと言います。ある程度の塊になったら、今度は足で踏んでいきます。約10分間踏んで玉にしたら、30分以上寝かし、また踏みます。その後、玉を伸ばし麺にします。美味しいうどんを作る為、典子さんは妥協をしません。
現在、蕎麦打ちを任されている長男・直毅さん。典子さんは、うどん打ちも教えようと、自宅の庭にあるうどん小屋で、うどん打ちの指導を始めました。
蕎麦打ちとの感覚の違いに戸惑う直毅さんでしたが、徐々にコツをつかんだようです。
親子で小平の伝統の味を守り続けてください。
この日典子さんは、お店の前の畑にお世話になった方々を招いて、野菜たっぷりのけんちんうどんを振る舞いました。もちろんうどんは典子さんが打ったもの。お孫さんも訪れて、家族や仲間みんなでうどんを頂きました。
“皆に支えられこんな幸せな事はない”と語る典子さん。東京に出来た小さなオアシスに、笑顔があふれています。