林業やマタギの里で知られる北秋田市が舞台。
秋田内陸線の比立内駅で、駅のスタッフとして働く大穂耕一郎さん(58歳)が主人公です。
物心つく前から鉄道好きだった大穂さん。中でも大学時代に初めて見た内陸線は一番のお気に入り。東京で小学校の教員として働いていた大穂さんでしたが、今から9年前、内陸線が廃線の危機あることを知り応援活動に参加。そして2011年3月“これからの人生を内陸線に捧げよう”と早期退職し移住しました。同時に北秋田市の臨時職員として無人駅だった比立内駅で働くことになった大穂さん。大好きなローカル線を見守りながら始めた、大穂耕一郎さんの雪国暮らしをご紹介します。
冬の時期、比立内駅での大穂さんの大切な仕事がホームの雪かき。乗り降りするお客さんが安全に歩けるようにと黙々とこなします。雪が多い今年は、一日作業に追われることも多いそうです。そんな作業の合間に一瞬、太陽が顔を出すと比立内駅はキラキラとした銀世界に・・・この太陽は何にも変えがたいご褒美だそうです。
大学時代に初めて見た内陸線。一番印象に残っているのが、利用するお客さんがみなさん笑顔だったこと。そして、今の大穂さんの一番の楽しみが、そんな笑顔のお客さんとのおしゃべりの時間。毎日顔を合わせることで、今ではすっかり比立内駅の顔です。
鉄道を撮ることが好きな「撮り鉄」でもある大穂さん。休日になるとカメラを手に写真撮影へ。この日の撮影ポイントは道沿いに3メートルも積み上がった雪の壁の上。かんじきを履いてよじ登り列車を待ちます。静寂の中で過ごす、この時間が至福の時だと言います。
内陸線を利用する人々に地域の素晴らしさを伝えたいと、駅舎の中で写真展を企画した大穂さん。今回は「冬の秋田内陸線」をテーマに写真が飾られました。地元の方や内陸線を愛する仲間たちも集まって比立内駅は大賑わい。大穂さんにも笑顔が溢れます。
雪国の暮らしは厳しいだけじゃない。そのことを伝えたいと東京から来た友人を近くのスキー場へと案内した大穂さん。ゴンドラに揺られ山頂に降り立つとそこには一面、樹氷が・・・。澄んだ空気と自然からの贈り物を前に、雪国の素晴らしさ満喫しました。