水戸市から車で30分の山里、茨城県城里町が舞台。2006年に単身移住して陶芸と田舎暮らしを満喫している飯島玲子さん(62歳)と夫の是正さん(63歳)が主人公です。40代で雑貨店をオープンしたことがきっかけで陶芸の奥深さに魅了された玲子さん。子供達の独立を転機に、家族の理解と協力を得て、第二の人生を歩みだしました。是正さんは水戸市在住の報道カメラマン。仕事の合間に城里町に通いながら、得意の日曜大工で妻の暮らしをサポートしています。お互いの人生の楽しみ方を尊重して暮らすご夫婦。程よき距離感が夫婦円満の秘訣です。
玲子さんの自宅は賃料年間5万円の古家。300坪の敷地に3棟の建物があります。自宅の改修にかけた費用は50万円程。是正さんの力を借り、手作業で仕上げました。母屋の他に、陶芸工房とギャラリーを構えて“おひとりさま”の暮らしは悠々自適です。誰にもじゃまされずに思う存分、陶芸に没頭したい玲子さん。作品に向きあうと何時間も作業を続けます。
陶芸以外の時間はご近所さんとの交流が玲子さんの楽しみ。お隣に暮らす江畠さんご夫婦に教わりながら、たくあんを漬け込みます。家族のようなお付合いを続けているお隣さん。そんな触れ合いができるのも田舎暮らしならではです。ご近所の農家さんから新鮮な野菜をおすそ分けして頂くことも毎度のこと。地元の皆さんの力添えがあってこその充実した山里生活です。
玲子さんが陶芸仲間と一緒に毎年開催するグループ展。自宅敷地にテントを張り、作品の展示販売を行います。その目的は自分たちの普段の活動を地元の方に知ってもらうこと。是正さん特製のすいとんの無料サービス、地元の野菜の抽選、音楽の演奏など楽しいことがいっぱいのイベントです。悪天候にも関わらず、100人ものお客さんが訪れ、おおいに盛り上がりました。
今、取り組んでいる作品のテーマはなんと“アフリカ”。砂漠の大地と夕日の色を探して試作を重ねていますが、納得の仕上がりには至っていません。「なかなか思うようにいかないのが陶芸の面白さ」と語る玲子さん。成功までの過程を楽しみながら、90歳まで現役で物作りをするのが目標です。暖かい家族や仲間達に囲まれ、玲子さんの夢の暮らしはまだまだ挑戦の連続です。