佐賀県唐津市の市街地から車で40分の集落、山瀬地区が舞台。山深いこの地に暮らす豊田健司さん(52歳)と妻の恵子さん(52歳)が主人公です。2年前、「山で暮らしたい」という夢を果たし移住しました。ここ山瀬地区は、過疎のため17年前に住民が山を下りた集落。現在はわずかな移住者だけが暮らしています。ご夫婦の住まいは築90年の古民家。商店も自動販売機もない山の中ですが、知恵と工夫をこらし、不便さを楽しみながら日々を送っています。そんな山暮らしの魅力を多くの人に伝えたいと願うご夫婦。
実は現在、体験型の民宿をオープンしようと準備中なんです!
豊田さんご夫婦に山で生活する知恵を伝授してくれたのは16年前から山瀬地区に暮らす溝部さんご夫婦。いつもお世話になっているお隣さんです。この日は、山で採取できるおいしい食材を教えてもらいます。アケビや山栗などが豊富に実る、秋の野山。爽やかな空気の中、カゴを片手に散策するのは山暮らしならではの醍醐味です。食いしん坊の恵子さん、おいしい収穫に思わず笑顔がこぼれます!
現在の生活を支えてくれているのは自宅の敷地で飼っている2頭のどさんこ。北海道生まれの小型の馬で、山歩きにピッタリなんです。自宅で営む、乗馬体験と食事ができる施設“どさんこミラファーム”。市街地からのお客さんにどさんこの乗馬や、食堂でジンギスカンを味わって頂きます。お客さんにもっと山瀬の素晴らしさを伝えたいと思ったご夫婦、次なる目標が民宿オープンなのです。
民宿営業の許可を得る為には、現在の自宅の施設に、トイレや風呂の増設が必要。健司さんは岩風呂を手作りすることを決意し、恵子さんは山暮らし体験のメニューを考え中。そんなご夫婦は、民宿開業の予行演習を兼ね、神戸の中学生をホームステイに迎えました。薪割り、飯ごうでの自炊、どさんこに乗って散策など初めての経験に生徒さんたちは大喜び。ご夫婦も夢の実現に向けて手ごたえを感じたようです。オープンの予定は来年3月!楽しみです。
山瀬地区で生まれ育った岩村さんは市街地から通いながら、故郷で農業を営んでいます。そこへ、馬糞から作った堆肥を届けている健司さん。岩村さんは豊田さんご夫婦が再び山瀬を盛り上げようとしていることを心から嬉しく思ってくれています。元住民と移住者、この地を愛する心は一緒です。「山瀬の素晴らしさを伝えたい」と願う豊田さんご夫婦に、仲間達も応援してくれています。