観光地として賑わう岡山県蒜山高原が舞台。 蒜山高原産の蕎麦の実を使う、蕎麦屋「叉来(またぎ)」を営む藤澤英治さん(61歳)と妻の秀子さん(52歳)が主人公です。移住当時からお世話になっているご近所さんに恩返しができればと、高齢化で蕎麦を打つ人が減っている蒜山高原で、蕎麦屋を開いた藤澤さんご夫婦。
英治さんが打つ、こだわりの十割蕎麦は、蕎麦の香りが強くのど越しがさやわかと評判で、お店には他県から蕎麦好きが通ってくるほどになりました。優しいご近所さんに支えられながら、美味しいお蕎麦を打ち続ける藤澤さんご夫婦の生活です。
「叉来」のメニューは、蒜山高原産の蕎麦の実をそれぞれ使う「あたたかそば」と「ザルそば」の2種類のみ。そこから、香りの良い「玄粉そば」と、のど越しの良い「丸抜きそば」を選ぶ事ができます。秀子さんオリジナルの「そば豆腐」など二品がセットで付き、蒜山高原でも人気のお蕎麦屋さんになっています。
英治さんの蕎麦へのこだわりは、蕎麦を打つ前の粉作りから始まっています。蕎麦の実の皮をむき、粉にすることが多いのですが「叉来」では更に、皮をむいた実を割って中心部分も取り除いています。皮と中心を取り除いた実がようやく石臼にかけられ、のど越しの良い「丸抜きそば」になります。
もう一つの「玄粉そば」は、黒い皮つきの蕎麦の実を石臼にかけて粉にします。そこへ、丸抜きそば用の粉を1対1の割合で混ぜ、ようやく「玄粉そば」の蕎麦粉として完成。英治さんと秀子さんの試行錯誤の末に完成したのが「叉来」自慢の二種類のそばです。
日頃お世話になっている長尾さん宅の夕食に、お呼ばれした藤澤さんご夫婦。夕食には、同じく移住時からお世話になっている大島さんご夫婦も参加し賑やかな会になりました。皆さんが藤澤さんご夫婦を応援し、藤澤さんご夫婦も期待に応えられるよう頑張っています。
この日、藤澤さんご夫婦と「叉来」のファンが集まり蕎麦の種蒔きを行いました。遊休農地になっていた畑を貸してくれたのは、ご近所さんの植木成子さん。成子さんが見守るなか蒔いた種は、10月には収穫できる予定です。参加した全員が、自分たちが蒔いた蕎麦の収穫をとても楽しみにしています。