飛鳥時代の古墳などで知られ、観光客に人気の奈良県明日香村。中心部から離れ、山々に囲まれた栢森(かやのもり)集落に、主人公・坂本博子さん(59歳)が営む「奥明日香さらら」があります。改装した民家で、地元の食材で作られた素朴な田舎料理を食べられるお店です。
2002年、過疎化が進む集落のために20名の女性が村おこしグループ「さらら」を立ち上げました。リーダーは博子さん。地元の特産品を作ろうと、お年寄りに話を聞いたり家庭料理を持ち寄ったりしました。苦労して見つけた料理で村おこしをするため、3年前に博子さんはメンバーの協力を得て「奥明日香さらら」をオープンさせました。
メンバーは日替わりで店を手伝います。
夫の俊一さん(62歳)は、会社勤めをしながら店で使う野菜を育ててくれます。
博子さんの目標は、お店を盛り上げ地域の雇用の場にすること。これからも仲間と一緒に、元気な活動を続けて行って下さい!
田舎料理が何種類も並ぶ「さらら膳」は、一品一品が地域のお年寄りやメンバーたちが教えてくれた料理。どこか懐かしい素朴な味が自慢です。明日香村産の古代米を使った黒米ご飯に野菜の天ぷら、村で唯一のお豆腐屋さんから仕入れた豆乳を使った豆乳鍋など、心が「ホッ」と落ち着く博子さん一押しの料理です。
夫の俊一さんは、坂本家が代々耕してきた畑で、お店で使う為の野菜を育ててくれています。この日は、ホウレンソウや丸大根を収穫しました。村おこしのために日々頑張る博子さんを支えたいと、俊一さんも「奥明日香さらら」に全面協力。夏に向けてさらに多くの野菜を収穫するため、今日も畑を耕します。
博子さんと一緒に、お店を盛り立ててくれる「さらら」のメンバー。それ以外にも地元の協力者たちがいます。85歳の脇田フサノさんもそんな方の一人。博子さんがご自宅を訪ねると、手間ひまかけて作った干し大根を分けてくれます。それらは、お店の食材に使い、お土産コーナーでも売っています。
ある夜。「奥明日香さらら」に10人のメンバーが集まり、さらら膳に加える新たなメニュー開発が始まりました。調理や接客などで普段からお店を手伝ってくれる仲間たち。皆の力で、地元のしいたけや干し大根を使って様々な料理が作られました。何かあればすぐに集まり知恵を出し合う。これがさららメンバーの団結なんです。
メンバーの協力で新作料理が完成しました。「コンニャクの豚肉巻き」「切り干し大根のサラダ」「シイタケのバターソテー」「シイタケの炊いたん」の4品。どれも素朴ですが、食材の味が引き立っています。どの料理をお店で出すか話し合った結果、4品すべてメニューに加えることになりました。そのうち、お店に並ぶ予定です。