宇治茶の約半分を生産する、お茶の里、京都府相楽郡和束町。茶畑が連なるこの町の風景に惚れこみ、木工房を作った宮村邦俊さん(63歳)と恵美子さん(64歳)ご夫婦が今回の主人公です。中学校の音楽教師を55歳で早期退職した邦俊さん。今後の人生を考えていた時に作った1脚の椅子がきっかけとなり、木工の世界にのめりこみました。その熱はおさまることを知らず、ついには工房を作る事に。その物件を探す中で、和束町と出会いました。そうして2006年に誕生した「宮さんの木工房」。ギャラリーには"お客さんを喜ばせたい"という邦俊さんの熱い思いがこもった作品が並んでいます。そんな作品に引き寄せられて工房に集まる人々には、いつも笑顔があふれています。
「宮さんの木工房」の人気商品がこちら、木で作る肖像画。1枚の写真があれば作る事ができます。家族からペット、記念日にと、お客さんの思い入れが強いというのもこの作品の特徴です。制作する邦俊さんも力が入ります。その人の人柄が出るような肖像画にするため、写真を細かく細かく観察し、木を切り抜いていきます。出来上がった肖像画を渡し、"そっくり!"とお客さんが喜んでくれた時は、制作の大変さもすべて忘れてしまうくらいの喜びです。
茶の里として有名な和束町を盛り上げるため、茶の木を使った小物の制作も始めた邦俊さん。材料にする茶の木は、いつも茶農家の久保見 守さんに頂いています。和束町に工房を構えてから4年半。四季折々の風景が美しく、皆が親切なこの町がどんどん好きになっていった邦俊さん。町のために自分が役立てることを、いつも探しています。
こちらは和束町の美味しいお茶を広めようと、地元の方々が始めた「和束茶カフェ」。無料で和束茶の味を楽しむことが出来ます。こちらにあるテーブルは邦俊さんの作品。更に邦俊さん、時々こちらでレジうちや、お茶運びなどのお手伝いもしています。美味しいお茶の入れ方もマスターし、すっかり和束町に溶け込んでいます。
この日、息子さんご家族が「宮さんの木工房」にプレゼントを持ってやってきました。子供のころ、邦俊さんと一緒に遊んでいた鉄道模型に、茶畑を付け加え和束町の景色を再現してくれました。もちろん「宮さんの木工房」もちゃんとあります。"お客さんがたくさん集まるように"と入口は開けたまま。そんな息子さんの思い通り、これからもたくさんの人が集まる「宮さんの木工房」になる事でしょう。