広島県福山市、瀬戸内海に浮かぶ田島が舞台です。
主人公はオコゼとヒラメをコース料理で振舞う「魚夢(ウォーム)」を営む河原孝義さん(66歳)と民子(60歳)さんご夫婦。オコゼのから揚げやお刺身にヒラメの姿焼き、珍味など多彩な料理を堪能できます。孝義さんは以前、養殖業を営んでいました。難しいとされていたオコゼの大量養殖にも成功しましたが、不況の煽りを受け2005年に廃業を余儀なくされます。人生のどん底を経験したご夫婦ですが、諦めきれない夢がありました。それは養殖していたオコゼとヒラメの美味しさを広める料理屋を開く事。ホテルに住み込みで働きながら少しずつ開業資金を貯め、2007年に瀬戸内海を一望できる古民家で「魚夢」をオープンしました。
『魚夢』ではオコゼとヒラメをコース料理で振舞っています。料理を担当するのは栄養士だった民子さん。給仕担当の孝義さんもヒラメの姿焼きだけは任されています。歯ごたえを楽しめるオコゼのから揚げや姿造り、鮮魚ならではの珍味、ヒラメのしゃぶしゃぶなど全15品の多彩な料理が揃います。
『魚夢』のオープンに合わせ養殖も再開しました。天然のオコゼが取れなくなる時期用に育てています。餌を与える際、孝義さんが手を「パンパン」叩くとオコゼが近づいてくるとの事。まさか・・・と思っていたら、ゆっくりと近づいてくるオコゼ!!「頭をさすってやりたい位、カワイイ」そんな孝義さんの愛情がオコゼに伝わっているのかも知れません。
収穫したヒジキを調理し、ご近所の藤原瑠璃子さん(81歳)を訪ねた民子さん。田島に移住してきた時からお世話になっている方です。今回、お土産のヒジキのお礼にと大根のお漬物を頂きました。ご夫婦にとって、地域との交流は島暮らしをする上で心の支えでもあります。
『魚夢』の予約が入っていない日。ご夫婦は近くの砂浜へ散歩に出掛けました。移住した理由の一つが、島から望む穏やかな瀬戸内海の景色に惚れ込んだから。ゆったりと夫婦の時間を過ごします。香川県で水産会社を経営し養殖に没頭していたご夫婦。今、瀬戸内海を挟んだ向かいの田島で、再びオコゼとヒラメに託した夢を形にしています。