天竜川が流れる山間の里、浜松市天竜区佐久間地域が舞台。NPO法人“がんばらまいか佐久間”が運営するNPOタクシー“がんばる君”の運転手を務める山田修平さん(62歳)と妻のひろ子さん(61歳)が主人公です。修平さんの定年退職後、お二人は“がんばらまいか佐久間”の移住支援を受けて2008年に佐久間に移住しました。自宅の敷地内には茶畑があります。お茶の栽培はご近所さんが手取り足取り教えてくれました。豊かな自然の中、温かい地域の人々に囲まれて暮らすご夫婦のお話。第二の故郷になった佐久間に恩返しをしようと頑張っています。
過疎化と高齢化が進む佐久間は険しい山道が多い地域です。NPOタクシー“がんばる君”は病院や買い物の送迎などに利用されています。初乗りは500円。移動する区域ごとに料金が加算されます。「タクシーの運転手になれば地域の事が分かるし、知り合いも増えると思った」と語る修平さん。お客さんの話し相手になり、まごころ込めて接する間に、佐久間の人々との絆が強くなっていきます。
修平さんの趣味は鉄道写真の撮影。この日、佐久間地域を走るJR飯田線の『S字鉄橋』と呼ばれる撮影ポイントにやってきました。トンネルが崩落して使えなくなったため、山を迂回してS字に作られた珍しい鉄橋です。目を輝かせてカメラを構える修平さん。列車が通る瞬間を待ち、シャッターを切ります。撮影は大成功。タクシーの運転が休みの日にはのんびりと趣味を満喫しています。
「地元に溶け込んで楽しく働きたい」。そんな思いでひろ子さんは“がんばらまいか佐久間”が運営する飲食店“NPOの店 いどばた”のお手伝いを始めました。メニューは蕎麦やうどん、そして手作りのお総菜です。お総菜はほとんどが一品100円で持ち帰りも可能。「年寄りの2人暮らしだから重宝しています。」と笑顔で語るお客さん。調理と接客を担当する、ひろ子さんも嬉しそうです。
山田さんご夫婦の夢、それは自宅の縁側でカフェを開くこと。釣りやツーリングで佐久間を訪れる人たちに、自家栽培のお茶や手作りのお菓子を振舞おうと考えています。ご近所の皆さんもこの計画に大賛成。「多くの人に佐久間の良さを感じてもらい、この地に移り住むきっかけにして欲しい」と語る修平さん。大好きな佐久間がもっともっと元気になると良いですね!