今回の舞台は兵庫県豊岡市。主人公は無人駅で「素人料理の店ぽっぽや」という食堂を営む中貝照代さん(57歳)と夫の稔さん(57歳)です。「ぽっぽや」は月に2回、隔週の土日にお店を開き、地元食材を使った照代さんの家庭料理や稔さんの手打ちそばを振舞っています。照代さんに転機が訪れたのは1年前。地元の駅が改装され、その記念式典で料理を振舞ったところ、多くの人からまたやって欲しいという声が挙がりました。地元の人たちの後押しで、専業主婦だった照代さんは一念発起。稔さんや応援してくれる仲間が、手作りで駅舎を食堂に改装、2010年9月「ぽっぽや」はオープンしました。乗降客1日平均5人の無人駅で、おふくろの味で心をつなぐ温かい交流を紹介します。
主婦だった照代さんが始めた『ぽっぽや』は北近畿タンゴ鉄道の無人駅、但馬三江駅の駅舎の中にあります。2週に1度の営業なので、心待ちにしていた常連さんや口コミで来店したお客さんで賑わっています。照代さんの家庭料理はもちろん、応援してくれる仲間の手作りで改装された食堂だからこそ温もりが伝わり、「気楽に集まれる場所」として親しまれています。
閉店後の『ぽっぽや』からトンカチやドリルの音が。駅の近所に住む大工・西村さん(69歳)が、照代さんの相談を受けて不安定な椅子の修理をしていました。「少しでも力になりたい」という西村さん。『ぽっぽや』のテーブルや椅子は主に廃材を利用して手作りした物。西村さんの様に応援してくれる人が、ボランティアで作り上げてくれたのです。
平日の朝。照代さんの1日は家族4人分のお弁当作りから始まります。家族が出勤した後は、孫の絢央(ケント=3歳)くんと過ごします。二人で折り紙遊びをしているのかと思いきや、箸袋を作っていました。「ぽっぽやで使うんだよ」と絢央くん。一緒にいる時間が長い分、照代さんの頑張ってる姿をしっかりみていたんですね。
中貝家の夕食では唐揚げの試食が行われています。実はこの唐揚げの中身は、おから入りのコンニャク。『ぽっぽや』で出すメニューを、まずは家族に試食してもらいます。家族にOKをもらい「なんちゃってからあげ」と名付けた新メニュー。『ぽっぽや』でも好評でした。身近で手に入る食材に一工夫する手料理には、主婦のアイデアが詰まっています。