今回の舞台は、海と山の幸に恵まれた三重県大紀町が舞台。熊野三山へと続く熊野古道を有するこの町で、1日1組貸し切りのレストランを営む濱はるみさん(65歳)と濱昌平さん(75歳)が主人公です。お二人は、夫婦でのんびり過ごしながら、お店もできる家を探し、4年前に大紀町の阿曽に移住しました。庭に大木があり、傍には川が流れる自然豊かな家。ここでお二人はレストラン「さんずい」をオープンしました。地元の食材にこだわって作る料理と庭の眺めは、訪れる方々を幸せにしています。阿曽の人たちの温かい心に支えられ、四季を感じながらのんびり過ごす。そんなお二人の笑顔あふれる日々をご紹介します。
「さんずい」の料理は洋風のランチコース全10品。オードブルやスープ、サラダ、パスタは地元で採れた野菜をふんだんに使った、はるみさんの創作料理です。近くの海で獲れた鮮魚を使った、メインのアクアパッツアはイタリアの漁師料理。パプリカなどを加え、見た目も鮮やか!最後は、昌平さんの淹れたこだわりのコーヒーと手づくりデザート。食後も、のんびりくつろげます。
この日、はるみさんと昌平さんは山へキノコ刈りにやってきました。案内してくれるのは、地元でキノコ栽培をしている藤原正幸さん。お二人の目当ては原木に育った“なめこ”。おが屑などを使って栽培されたものと違い“原木なめこ”は、この時期にしか採れない貴重なものです。悪戦苦闘しながら、なめこを収穫したお二人。この“原木なめこ”で、はるみさんは美味しいパスタを作ります。
週に2日しか営業しない、ご近所の居酒屋「満月」。お二人は、この日を楽しみにしていて、いつもそろって出かけます。地元の人が集るこのお店は、近所付き合いの拠点。濱さんご夫婦が大紀町に引っ越してきて4年。女将さんの生駒月子さんを始め、常連の方々ともすっかり仲良くなりました。移住者を温かく歓迎してくれる、阿曽の人々の優しさに触れられる場所です。
この日、昌平さんが作ったのは「さんずい」の看板。入り口に気づかないお客様が多く、以前からはるみさんにお願いされていました。筆を手にした昌平さん、墨で一気に書き上げます。その出来に、はるみさんは大満足。新たな看板は通りに面した場所に掲げられました。これからもここで、陽だまりのような居心地のいい場所を提供してゆきたい、とお二人は考えています。