今回の舞台は日本海に浮かぶ美しい島、島根県隠岐の島町です。のどかな海辺の集落、卯敷で「卯敷販売所」を営む岸根伴都(ともくに)さん(67歳)と妻の富美子さん(62歳)が主人公です。早期退職後、平穏な生活を望んで故郷の島に戻ったご夫婦。しかし、生活協同組合で運営していた集落唯一の商店が赤字続きで存続の危機に。このままでは地域のお年寄が困ってしまう・・・。一肌脱ぐことを決意したご夫婦は2009年5月に店を引き継ぎました。ご夫婦は集落の皆さんに頼られ嬉しいながらも忙しい日々を送っています。
店に並ぶのは洗剤、ティッシュペーパー、食料品などの生活必需品です。卯敷では人口80人の内、3分の1が70歳以上と高齢化が進んでいます。島の中心地までは車で40分。買出しに行けないお年寄りにとって店は頼みの綱です。猛暑が続いた今年、エアコンの効いた店内で常連さん達はついつい長居しちゃいます。よもやま話に花が咲き、ここは小さな楽園です!
海が大好きな伴都さん、夜はイカ釣りに出かけます。漁は実用を兼ねた趣味。獲れた魚は店でも販売します。伴都さん、地元で「白イカ」と呼ばれるケンサキイカを釣り上げました。新鮮な白イカは刺身が一番!独特の甘みとコリコリした食感は酒肴にはたまりません。勿論、伴都さんはこの白イカで一杯やりました!
この朝、ご夫婦はお墓の掃除に向かいました。島を離れていく人が多く、手入れが行き届かないお墓もあります。退職後は故郷に帰ろうと思い続けていたご夫婦。「故郷はホッとする」と伴都さんは微笑みます。「この地で支え合って生き続ける人々が愛おしくなる」と語る富美子さん。店を継ぐことを決めたお二人の胸中にあったのは、育ててくれた故郷への感謝の気持ちでした。
店番を富美子さんに任せ、伴都さんはフラフラとご近所を散歩。船小屋の影で涼んでいた老夫婦に話しかけます。世間話をしつつお年寄りの様子を伺うのが伴都さんの日課。「地域住民のために、お店を無くしてはいけない。自分たちの役目は次の世代に店を引き継ぐこと、それが故郷を守ることに繋がる」伴都さん、富美子さん、故郷を思う心はいつまでも続きます。