群馬県前橋市で、からくりおもちゃの美術館『ぽるぺっぽ』を営む粂井有二さん(64歳)と真砂子さん(61歳)が、今回の主人公。長年、書籍のデザイナーとして活躍後、60歳を機に引退した有二さん。
その直後、からくりおもちゃと出会い「木の良さ、そして、からくりおもちゃの魅力を伝えたい」と夢を膨らませ、遂には私財を投じ、2007年に大好きな赤城山の中腹に美術館をオープンすることに・・・
しかし、その思いとは裏腹に、来館者は少なく試行錯誤する日々。‘男の夢’にまっしぐらな有二さんと、夫を支える真砂子さんの奮闘振りをご紹介します。
『ぽるぺっぽ』の特徴の1つが「見るだけではなく、動かして楽しめる」という点。館内には、国内外から集められたおよそ70点、実際に歯車を回すことの出来る作品が展示されています。現代からくりおもちゃの特徴の1つが“仕掛けまで含めて作品”と言う考え方。大きさや形の違う歯車を組み合わせる事で、様々な表情を見せるからくりおもちゃ。その仕組みを理解することで楽しさも倍増です。
実は、有二さんご自身もからくりおもちゃを制作しています。そのキッカケは「訪れたお客さんに、からくりおもちゃの魅力をより伝えられる様にしたい」との思いから・・・全て独学、今までに作った作品は5点。
時間を見つけては、館内の工房にこもり、様々な木から切り出した100近いパーツを組み合わせ、創作する日々でもあります。
ご夫婦の大切な仕事の1つが「輪ゴム鉄砲」の制作。からくりおもちゃの歯車を使い10連発が可能な輪ゴム鉄砲を考案した有二さん。パッケージのイラストも全て有二さんが手掛けました。
「訪れるお客さんの数よりも売れる」という輪ゴム鉄砲。今では『ぽるぺっぽ』を運営していく上での貴重な収入源でもあります。
『ぽるぺっぽ』夏休み恒例の工作教室。「子供達に作る喜びを感じて欲しい」との思いから始まりました。有二さんは、子供達に何を作りなさいとも、どう作りなさいとも言わず、全てを感性に委ねます。続々と作品が完成する中、有二さんも6作目となる新作をお披露目。『ぽるぺっぽ』に笑顔が溢れ、その笑顔が“男の夢”を今日も支えます。