今回の舞台は福井県坂井市。海の前でサーフショップを営みながら、4年前に海女となった松田七世美さん(54歳)と、漁師となった夫の泰明さんが主人公です。13年前に起きたナホトカ号重油流出事故の重油除去作業で、地元の海女さんと知り合い、海女に憧れるようになった七世美さん。2005年に乳ガンが見つかり、自分がやり残したことは無いかと考え、海女になることを決意。54歳にして最年少の海女になった。もっと若い人たちに海女になって欲しいと考えている七世美さん。しかし、海女になるには地域の取り決めがあり、なかなか難しい。七世美さんと泰明さんは、まずは海に興味を持つ人を増やそうと奮闘する日々。これからも夫婦仲良く、故郷の海を愛し続けていってください。応援しています!
23年前からサーフショップ「Nan’s Sea」を営む七世見さん。店員の小見山さんからは「この地域ではドンみたい」と言われるほど、地元では有名人。それは、ナホトカ号重油流出事故の重油除去作業をはじめ、地域の取り組みにいつも参加してきたから。そして、今までの活動が地域の海女さんたちにも認められ、大好きな故郷の海で、海女になる事ができました。
早朝5時、海女にとっての1日が始まります。海女頭と呼ばれる海女のリーダ格が集まり、海の様子を見て漁に出ても安全かどうかを話し合います。七世美さんも、長年の経験を持つ先輩海女と共に波の高さ、潮の流れを話し合い微力ながらも会議に参加します。実はこの日は、待ちに待ったアワビ、サザエの解禁日。会議も終わり、漁にでることが無事に決まりました。
七世美さんのお隣りに居るのが、師匠でありこの地域で最高齢海女の柳田のぶさん。85歳にして、現役バリバリののぶさんは、坂井市の海で何人もの海女を育ててきました。師匠ののぶさんは七世美さんのことを、もう立派な一人前だと言いますが、七世美さんはまだ半人前以下だと言います。海に生きる海女も、師匠と弟子として少しずつ知識と技術を受け継いでいきます。
この日から行われるのは、「なで漁」と呼ばれるアワビ、サザエを獲る漁。その昔、水中眼鏡が無かった時代に岩場をなでてアワビを探した事から、そう呼ばれるようになったといいます。今は水中眼鏡にウェットスーツと格好はだいぶ変わりましたが、アワビとサザエが隠れている場所は変わりません。こればっかりは、海女としての経験がものをいいます。この日の収獲は、アワビ2個と15キロのサザエ。「なで漁」初日と考えれば、まずまずの結果だとか・・・。
波が高く漁に出れない日、海女たちはワカメの加工作業にいそしみます。海女が仕事をするのは、海の中だけではありません。一緒に作業をするのは、七世美さんの母・幸枝さんと去年海女を引退した鷲田あい子さん。あい子さんには、ワカメの加工方法や海女としての知識などいつも教えてもらっています。最年少の七世美さんが海女としてやれているのは、先輩海女の手助けがあるからこそです。
現在、七世美さんの所属する地域の海女さんは16人。昔に比べてだいぶ少なくなりました。海の良さを知ってもらう事が、何よりも海女になりたいという人を増やす事に繋がる。そう考える七世美さんは、若いサーファー達に声を掛けて、浜辺でバーベキューを開きました。食材はもちろん七世美さんの獲った海の幸。元海女のあい子さんも加わり、サーファーたちと一緒に盛り上がりました。