舞台は緑豊かな山梨県大月市。この町の山あいに、完全予約制・一日わずか一組だけがこだわりの料理を味わえるお店があります。懐石風料理店「奥山の里 隠居」。主人公は、自宅でこのお店を営む山口操子さん(60歳)と夫の欽也さん(66歳)です。
自動車教習所を定年退職後、土いじりを始めた欽也さん。平穏だけど単調な毎日・・・。そんな暮らしに、元々料理好きだった操子さんは、夫婦の趣味と広い自宅を活かしてお店を開きたいと考えるようになります。大反対していた欽也さんを巻き込み、2年前に自宅でお店をオープンさせました。
一品ずつ懐石料理風に、操子さんの手料理を出すお店。欽也さんは、接客担当として店を盛り立て、今ではこの仕事が生きがいになったといいます。
夫が育てた野菜で作る妻のこだわり料理。お客さんの「おいしい」の一言に支えられ、二人三脚で歩むお二人。これからも仲良く、同じ夢に向かって頑張って下さい!
あめ色に煮たきゃらぶき、プルプルのゴマ豆腐、彩り豊かなてんぷら・・・。一品ずつ出される手の込んだ料理には、操子さんのこだわりが随所に見られます。材料となる豆腐も、そばも、デザートに入るあんこに至るまですべて手作り。そして欽也さんが手塩にかけて育てた野菜もまた料理の主役になります。盛り付けや器選びにもひと手間かけて、目にもおいしい料理の数々。操子さん、お見事です!
欽也さんが定年退職を機に始めた家庭菜園。荒地を一から耕して作った一帯には、今では様々な種類の野菜が植わっています。店の料理を彩る大事な食材。欽也さんのこだわりは、農薬は使わず野菜を育てること。そして土は裏山から枯葉を集め、3年がかりで作った腐葉土です。
趣味で始めた土いじりが、今ではお客様を喜ばせるという生きがいに変わりました。
この日欽也さんが出かけたのは毎月恒例になっている高校の同級生の集まり。酒を酌み交わし、時には旅行に出かけ、卒業以来40年以上に渡り集まり続けているのだとか。そんな皆さん、お店を始めた欽也さんのことを「料理が出来ない」「似合わない」と辛口トーク、でも本当は応援してくれています。欽也さんは、気心の知れた仲間との時間を毎回とても楽しみにしています。
お店で使う器を竹で作りたいという操子さんの提案に、なかなか首をたてに振らなかった欽也さん。いつもの仲間、同級生の皆さんの力を借りて器作りに取り掛かりました。竹を切り出し、のこぎりを手に汗だくになりながら器を作る欽也さんたち。
いい仲間に恵まれ、支えられて。また頑張る活力になるのです。