今回の舞台は、世界自然遺産に登録された鹿児島県屋久島。2008年7月に「いやしの民宿 とんとん」をオープンし、長年の夢をかなえた板川貢さん(55歳)と妻の満子さん(52歳)が主人公です。30数年前、家族旅行でたまたま訪れた民宿で心温まるもてなしを受けて以来、自分達もいつかは民宿を経営したいと夢見てきました。7年前、屋久島に縄文杉を見に行ったことがきっかけで漠然としていた夢が具体的に動き始めます。縄文杉の生きてきた年月に想いを巡らせ、改めて人生を見つめ直したご夫婦。貢さんは早期退職し、念願の民宿を開業しました。
民宿「とんとん」は杉の香りに包まれています。床、天井、テーブルにまで杉板を使い、歩くと「とんとん」と音がします。客室の窓から望むのは間近に見えるモッチョム岳。さらに、宿の自慢は屋久島産の野菜や魚介類を沢山使った料理です。地元では馴染みのキホタは皮を炙り、お刺身で頂きます。トビウオの白子と真子のしゃぶしゃぶは新鮮な物でなければ提供できない特別料理です。
散歩が大好きな満子さん。一緒に出かけたのは次女の奈津希さん、そして、民宿「とんとん」の開業後に屋久島に家族で移住してきた長女の弥代さんと2人のお孫さんです。大自然の中での子育てを望んだ弥代さん。子供達は元気いっぱいです。海に続く一本道を歩きながら、道端の植物を観察したり、なにげない風景に季節を感じたり。健やかでのどかな時間を楽しんでいます。
家族全員での夕食。貢さんの友人、漁師の鞆さんから頂いた新鮮なムロアジが食卓を彩ります。お刺身でも美味しいのですが、今夜はしゃぶしゃぶで!島暮らしならではの贅沢です。「屋久島が好きだから両親と一緒に移住した」と話す奈津希さん。本当はお父さん、お母さんが大好きだから一緒に暮らし始めたんですよね。家族全員で支えあう板川家、笑い声が絶えません。
屋久島の自然に魅せられ、民宿経営を第二の人生に選んだお2人。33回目の結婚記念日に、ご夫婦は森へ出掛けました。屋久杉を目の前に「夢は思い続けると叶う」と改めて30数年間を振り返った満子さん。「お客さんとの出会いを大切に、家族が幸せになるように努力します!」と新たに誓った貢さん。これからも縄文杉のように、しっかりと根を張り、新たな年輪を重ねていってください!