舞台は日本海の幸に恵まれた漁業の町、山口県萩市須佐。この地域で漁家民宿を営む川口みき子さん(59歳)とイカ釣り漁師の勝美さん(60歳)が主人公です。普段から地元の魚介を使い様々な料理を作っていた、みき子さん。40歳の時にマイワシの稚魚を使った佃煮が県の加工品コンクールで最優秀賞を受賞。それをきっかけに漁協婦人部の活動で、地元食材を使った加工品作りに積極的に参加していました。その後、地元で獲れる剣先イカを“須佐・男命(みこと)いか”としてブランド化しようという動きが始まりました。そこでみき子さんは「ブランド化を進めるには、地元でイカを食べられる場所を造らなくてはいけない!」と考え、去年10月“漁家民宿・遊縁(ゆえん)”をオープンしました。昼間は食事処もやっている遊縁の自慢は勿論、勝美さんが獲ってくる地元ブランドの須佐・男命いか!厨房で腕を振るうのは、みき子さん。それをサポートするのが2人の息子たちです。家族一丸となって頑張る遊縁。これからも家族仲良く遊縁の縁を更に広げていってください!
こちらは遊縁のランチ、浜ごはん。普段食べている「漁師のおかず」が並びます。その数なんと!20種類以上!お客さんに美味しいと言われサービスしていたら、いつの間にか、この数になってしまったんだとか。この日はメバルの煮付け、ナマコの酢の物にイワシの佃煮など盛り沢山です。中でも勝美さんが捕ってくる“須佐・男命いか”のお刺身は大好評です。
遊縁の心強い助っ人、長男の繁さんに、次男の真さん。繁さんは料理の盛り付け、真さんは刺身の担当。実は2人とも、県外で料理修業の経験があります。故郷・須佐に戻り、母親の漁家民宿を手伝っているのです。洋食経験者の2人と和食メインのみき子さん。たまには喧嘩もしますが・・・家族で頑張っています。
宿泊の予約がないこの日、勝美さんと一緒に長男・繁さんもイカ漁に出ました。故郷に戻り、父と漁に出て「改めて親父の背中はかっこいいと感じた」という繁さん。2年前から時間を見つけては親父の船に乗るようになりました。漁師になって45年の勝美さん。「イカ釣り漁は自分一代で終ってもいい」と言いつつも、こうやって息子と一緒に漁に出られることが、嬉しいんです。
この日、ランチの営業が終わった後、盛り付け担当の長男・繁さんが包丁を握っていました。実はみき子さん特製の「イカの塩辛」作りを繁さんが教わっていたんです。使うイカは勝美さんが釣ってきた須佐・男命いか。「自分の味が少しでも引き継いでもらえたら嬉しい」と、みき子さんは微笑んでいました。漁師の母ちゃんの味は、こうして息子たちに引き継がれて行きます。