今回は、新潟県の南西部に位置する上越市が舞台。2008年9月に「讃岐うどん房 鶴越」を開店した小川隆治さん(49歳)と妻の浩美さん(49歳)が主人公です。隆治さんは出張で立ち寄った香川で讃岐うどんに出会いました。ツルツルの吸い付くような食感とコシの強さに感激。すぐに、うどんを打ち始めた隆治さん。本場、香川の讃岐うどん店の体験修業を経て、上越市でお店を開きました。開店から1年半、地元のお客様は勿論、本場香川の人たちも「美味しい」と認められる讃岐うどんを目指しています。
「鶴越」のうどんは、上越市内の就労移行支援施設で製麺しています。ここは、障害を持ちながら就労を目指す方々の職業訓練の場所。以前、ボランティアをしていた隆治さんは、「鶴越」開業の際には是非、彼らの力を借りたいと考えていました。讃岐うどんは生地を足で踏み、おいしい弾力を生みだします。材料にも拘る隆治さん、小麦粉は香川産を混合した100%国産のものを使っています。
高松市を訪れた小川夫妻、インターネットを通して知り合った香川在住の讃岐うどんファンに案内され、本場で注目されているうどん店を巡ります。マニアの間でも知る人ぞ知ると言われる製麺所にやってきた御一行、マイ箸とマイ丼を取り出しました。実は、ここには飲食スペースがありません。麺を買い、冬空の下でうどんを味わいました。
香川訪問の2日目、小川さんご夫婦は隆治さんが修業を積んだ「あづまうどん」に足を運びました。昼時だけで250人以上が押しかける人気店です。美味しいうどんで大事なのが、麺を釜に入れる時の量とタイミング。讃岐うどんは茹で上げるまでに時間がかかります。お客さんを待たせず、美味しいうどんを出すコツを学びたい隆治さんは厨房を手伝いながら親方の手元を覗き込みます。
緊張気味の小川さんご夫婦。香川訪問の一番の目的は師匠である「あづまうどん」の親方と女将さんに雪国で生まれた「鶴越」のうどんを食べてもらうことでした。本場讃岐のうどん通の皆さんも集まり、お二人の作ったうどんが振舞われました。うどんをすすった親方の一言は「うまい」。そして皆さんも大絶賛。暖かい励ましに応え、志を新たにした小川さんご夫婦でした。