平和都市として世界に名をはせる広島市。この地で生まれ育ち、61歳で念願の鍛冶屋を始めた光勢聖治さん(66歳)とその夢を支える妻、和子さん(63歳)が今回の主人公。若い頃から鉄に関する仕事をしてきた聖治さん。長年培った鍛鉄の技術を使い、自分の思い描く作品を作りたいと思うようなり「工房かじや」を始めます。そんな聖治さんの夢を応援しようと、和子さんは自宅の一部にラーメン店を開店。隣の自宅をギャラリーにし、訪れるお客さんに作品を見てもらっています。応援の甲斐あって、町には聖治さんの作品が少しずつ増えてきました。「暮らしを鉄で彩りたい」と日々制作に励む聖治さんです。
“くらしの中の鉄”をテーマに掲げる「工房かじや」。町の人たちの“こんなものが欲しい”という想いを、鉄を使って形にしていきます。そんな聖治さんの作品を受け取った人たちは「鉄なのにぬくもりがある」と言います。「自分の思いを形にできるのが楽しい」という聖治さん、今日も新たな鉄の可能性を探っています。
聖治さんの夢を応援するべくオープンした「らーめんかんちゃん」。住宅街の中にあって、ご近所さんが気軽に立ち寄る事のできるお店です。週末・夜のみの営業ですが、毎週食べに来る常連さんもいらっしゃるとか。おしゃれな店内を飾るのは、もちろん聖治さんの作品。気に入った方には隣にある「工房かじや ギャラリー」を勧めています。
一人娘の麻衣子さん。デザイン事務所で働く技術を生かし、「工房かじや」のチラシやホームページを作っています。聖治さんが新しい作品を作ると必ず写真を撮り、印刷して持ってきてくれます。
それを見ながら、家族みんなで作品の話に花が咲く、そんな時間が聖治さんの新たな作品作りにつながっています。
人気の一輪挿しなど、ガラス部分をいつもお願いしているガラス職人・山田実峰さんの所に、新作の相談でやってきた聖治さん。その構想に頭を悩ます山田さんですが、お二人、なんだか楽しそうです。今後は陶器やステンレスなども鉄と組み合わせてみたいと言う聖治さん。作品作りへの好奇心は尽きません。