今回の舞台は、埼玉県の南に位置する川口市。荒川を隔てて東京都と隣接するこの街に今回の主人公、駒宮洋さん(64歳)と妻の節子さん(63歳)のご自宅があります。ご夫婦の住まいに飾られた精巧な古民家の模型の数々。心温まるこれらの作品は、全て洋さんが作ったもの。建物だけではなく、古民家の周りの風景をも再現するのが洋さんの拘り。人々の暮らしや季節までもが活き活きと伝わってきます。かつて自分が過ごした懐かしい日本の風景を残したいと、古民家の模型作りを始めたご夫婦を御紹介します。
洋さんの作品には近所で採集したススキ、木の皮、小石など、自然の材料を使い、独自に考えた方法で組み上げていきます。この日、旅行で福島県を訪れたご夫婦は福島市民家園にやってきました。古い民家などが移築、復元されている園内で、洋さんはメジャーを取り出し、井戸の寸法を測り始めました。精巧に作るポイントの一つが実物の採寸なのです。
趣味の旅行に出かける度に各地の古民家を訪ね、建物を採寸し、写真に収めてきました。何でも自分でやってしまう洋さん。実物から得たデータをもとに、実際に図面をひき、模型の設計図を作ります。古民家に憧れ、模型づくりに打ち込むうちに自分たちも本物の古民家で生活してみたいという夢まで抱き始めたご夫婦です。
古民家の模型から広がった洋さんのもう一つの趣味。それが昆虫の模型作りです。なんと、このカブトムシはティッシュペーパーからできています。古民家の庭に置く鶏や野菜などをティッシュペーパーで作ったことがきっかけで始めました。最も細かい触覚や脚は1mmに切ったティッシュペーパーをこよりにして作ります。昆虫の模型も本物の昆虫のサイズを計測して作っています。
息子の大志さん一家が駒宮家に遊びに来ました。孫の翔舞輝(しぶき)君が抱えている恐竜のおもちゃは洋さんがダンボールで作ってあげたものです。息子の大志さんも幼い時、洋さんの手作り玩具で遊びました。買ってもらうより、作ってもらったほうが嬉しかったと語る大志さん。物作りが大好きな洋さんの暖かい愛情が子供たちやお孫さんに届いています。