舞台は鹿児島県霧島市にある牧園町。ここにある無人駅、霧島温泉駅を盛り上げようと、今年8月から地域の仲間と共に駅弁の販売を始めた吉原諭さん(62歳)とあや子さん(56歳)が主人公です。
4年前、諭さんは勤めていた町役場を退職。その頃から、生まれ育った町が寂れていくのを感じ始めた吉原さんご夫婦は、地域振興会の仲間と共に駅弁販売を企画。駅弁工房「ぽっぽや」を立ち上げ、今年8月、「竹ん皮温泉おにぎり弁当」の販売を開始しました。
竹の皮に包まれたお弁当は愛情がいっぱい。忙しくも楽しい毎日を送る吉原さんご夫婦。食べる人も、地域の人も元気にする、素敵なお弁当を作っていってください!
駅弁作りは朝の6時から始まります。工房は吉原さんご夫婦の自宅にある離れを改装して作りました。こちらはご近所に住む上原松子さん。吉原さんとは地域振興会の仲間で、36年来のご友人。実は最初に駅弁作りを提案したのは上原さん。吉原さんご夫婦と一緒に美味しいお弁当作りに励んでいます。あや子さんと諭さんにとって、とても頼りになる存在です。
駅弁工房「ぽっぽや」自慢の「竹ん皮温泉おにぎり弁当」。あや子さんのこだわりは、地元で採れた新鮮な食材を使うこと。おかずはレイシの漬物、がんもどき、ガネと呼ばれるサツマイモの天ぷらと、黒豚の串カツ。そして卵焼きと茶団子です。おにぎりは、温泉水でお米を炊いて、モチモチの食感に仕上げました。田舎の景色がよく似合う、どこか懐かしい味です。
駅弁の販売は、霧島温泉駅に特急「はやとの風」が停車する10時29分からの4分間。ホームに机を置き、その上にお弁当を並べて販売します。週末は観光客が多いため、手作りパンや新鮮な野菜も並び、地域振興会の仲間が販売のお手伝いをしてくれます。霧島温泉駅と地域を盛り上げようと、沢山の仲間が吉原さんご夫婦を応援してくれているんです。
吉原さんご夫婦には心強いお仲間がいっぱいいらっしゃいます。食材の仕入れにやってきた諭さん。こちらはお弁当を包む竹の皮と漬物を提供している、あや子さんの母・臼崎ミツ子さんと四元マツエさん。駅弁作りに関わることが「生きがい」だと語るお二人。「竹ん皮温泉おにぎり弁当」は牧園町の方々を元気にしているんですね。
霧島温泉駅前地区で、月に一度75歳以上の方が集まり、一緒にお食事をする「いきいきサロン」。吉原さんご夫婦もボランティアでお手伝いをしています。この日、あや子さんは手打ちそばを、諭さんは自分で獲ったうなぎを蒲焼にして皆さんに振舞いました。歳を重ねても楽しく元気に暮らせる牧園町。心温まるこの町を、皆が愛しています。