今回の舞台は、北海道七飯町。スキー場のゲレンデでパラグライダーの体験スクールを開校した鈴木隆さん(60歳)と妻の和子さん(56歳)が主人公です。神奈川県出身、大手電機メーカーで働いていた隆さんの夢は空を飛ぶこと。和子さんとの結婚を機にハングライダーを始め10年後、パラグライダーに出会います。その手軽さに魅了された隆さんはインストラクターの資格を取得、パラグライダーの素晴らしさを多くの人に伝えたい、と思っていました。定年退職が迫った2008年10月、北海道にあった別荘近くのスキー場が、パラグライダーをするのにとても適したロケーションであることを発見。スキー場の協力を得て、スクールの開校を決意、12月に定年を迎えた隆さんは準備を始め、2009年6月に念願のパラグライダー体験スクール「函館スカイパークはやぶさ」をオープンしました。
隆さんが「はやぶさ」で始めた初心者でも浮く体験ができる半日体験コース。その素晴らしい体験に魅せられた地元の男性数名が常連さんとなり、「はやぶさ」に通って来きます。皆さんの年齢は50~60代、装備を担いでゲレンデを登ったり、下ったりを繰り返すハードな練習にもかかわらず、頑張っています。一度飛んだときの爽快感は、そんな苦労も吹き飛ばしてしまうそうですよ。
今までは休暇に別荘として滞在していた北海道に移住し、鈴木さん夫婦は生活を始めました。厳しい冬が来る前に準備しなくてはならないことも多くあります。スクールの常連さんの一人で近所に暮らす薄井さん(67歳)に上手な薪割りの方法を教わりにやってきました。薄井さんは住居としているログハウスも自分で建てたほどで、薪割りもお手のもの。パラグライダーでは隆さんが先生ですが、まき割りでは薄井さんが先生です。
スクールが休みの日、鈴木さん夫婦はパラグライダーの常連さんである前田さん(67歳)の自宅を訪ねました。前田さんは27年前から趣味で陶芸をしています。今日は前田さん指導のもと、陶芸に挑戦です。以前、和子さんは陶芸を習ったことがあるのですが、こちらへ来てまた創作ができるとは期待していませんでした。パラグライダースクールが縁となり、夫婦は七飯町での楽しみをもう一つ見つけたようです。
「はやぶさ」で隆さんと常連さんが集まって取り付けているのは、フライトシミュレーターです。常連さんのパラグライダーへの思いは大きく、体験スクールだけでは物足りなくなってきました。隆さんのように自由に飛べるようになることが常連さん達の夢。隆さん自身も予想しなかった、嬉しい大きな反響です。隆さんは皆さんが単独で飛ぶためのライセンスを取得できるよう、より本格的なスクールのシステム作りに取り組んでいます。準備をすすめる鈴木さん夫婦に常連さんも一緒になって協力しています。みんなの夢がさらなる高みを目指し、北国の大空を上っていきます。