舞台は山間に佇む熊本県山都町菅(すげ)地区。ここで暮らす米農家が自家消費用に作る野菜を少しずつ買い取り、熊本市内の自宅で販売している菅純一郎さん(57歳)、美枝子さん(57歳)が主人公です。
純一郎さんは菅の棚田オーナーになったことをきっかけに、農家から野菜をもらうようになり、その甘さとコクに惚れ込みました。過疎化が進み、せっかく農家の作った新鮮野菜が食べきれず捨てられている現状を知った純一郎さん。その野菜を街の人に食べてもらおうと熊本県庁を早期退職し、去年7月、自宅に直売所をオープンしました。
菅の新鮮野菜を通じて、山里と街を繋ぐ橋渡しに奮闘中の菅さんご夫婦。これからも頑張ってくださいね!
こちらは山都町の名所「通潤橋」。江戸時代に水不足で悩む民衆を救うため、惣庄屋・布田保之助が肥後の石工技術を用いて作った、日本最大級のアーチ水道橋です。その長さはなんと75メートル!今も現役の水道橋として、周囲の田畑を潤しています。
直売所の営業日の朝、純一郎さんは自宅から車で1時間かけて菅に向かいます。農家のみなさんは、朝採りした新鮮な野菜をたくさん用意して待っていました。街の人に美味しく食べてもらうことが何より嬉しく、お小遣いの使い道を考える楽しみも増えたとか。
中には「純一郎さんは神様です!」と言い切る農家さんもいて、照れ笑いする純一郎さんでした。
野菜の集荷から戻る純一郎さんを心待ちにしていたのは、熊本市内の自宅近所に住む常連客のみなさん。軒先に並ぶのを待ちきれず、自ら野菜を降ろすお客さんもいて、さながら野菜の争奪戦!純一郎さんは接客、美枝子さんはレジ打ちに大忙しです。
直売所をオープンして1年、有機栽培で作られた新鮮で安全な菅野菜のファンが増えています。
菅さんご夫婦が菅地区と関わるきっかけになった棚田オーナー制度の田植えが行われました。今年で米作り13年目のご夫婦。
純一郎さんが初心者の指導にあたる一方で、美枝子さんは素足で田んぼに入ると、泥パックみたいで足が綺麗になると大はしゃぎ!田植えのあとは、菅農家のみなさんとオーナーさんによる食事会が行われ、楽しいひと時を過ごしました。
お店のお客さんに菅の野菜が作られている畑をじかに見てもらいたいと考えていた純一郎さん。菅地区に相談し、この日、農家さんとお客さんの交流会を開きました。生まれて初めて見た収穫前の野菜にお客さんは大興奮!野菜作りの大変さも教わりました。そして、農家のお宅では新鮮野菜を使った菅の郷土料理を堪能し、交流会は大成功!企画した菅さんご夫婦も本当に嬉しそうでした。