今回の舞台は、愛知県刈谷市。2007年に「麺処 田吉」をオープンした石原吉夫さん(64歳)と陽子さん(61歳)が主人公です。吉夫さんは元中学の先生。熱血先生として指導する傍ら、うどん屋さんを開きたいという夢がありました。定年退職後、手打ちうどんの修業を始めるも、腱鞘炎になり夢を諦めかけた吉夫さん。しかし教え子たちの「途中で辞めたら先生じゃない」という言葉に奮い立たち、念願のうどん屋さんを開店させました。教え子や家族に支えられ、おいしいうどん作りに励む石原さん夫婦。これからもうどんのように長くコシの強い絆を大切にしていってください。
「田吉」自慢の一品がかき揚げうどん。吉夫さんがこだわったモチモチした食感のうどんと、陽子さんの揚げる天ぷらが好評です。開店と同時にお客さんが入り、昼時にはお店は満員御礼。お客さんの「おいしかった」という一言が石原さんご夫婦にとって何よりの喜びです。
外で並ぶお客さん用にベンチを持ってきてくれたのは、教え子の平野さん。同級生の浅川さんとともに昔話に花が咲きます。教師時代は熱血先生だった吉夫さん。その先生が「いらっしゃいませ。ありがとうございました」と言う姿にはお二人ともびっくりしたそうです。
手打ちうどんの修業中に腱鞘炎になってしまった吉夫さんの心強い相棒が製麺機です。「こねる、打つ、切る」と一台三役。機械打ちといえども微妙な調整が必要で、おいしいうどんのコシを生み出すには経験からくる勘が頼りです。
この日、吉夫さんと陽子さんにとって嬉しい来客が。長女・和子さん一家と、次男・大介さん一家が遊びに来てくれました。お店を始めることを最初は心配していたお子さんたちも、今ではお二人の良き応援者。お孫さんたちの姿にご夫婦の顔も緩みっぱなしです。
37年前の教え子たちが集まった同窓会。吉夫さんも張り切って手打ちうどんを振舞いました。一度は諦めかけたうどん屋さんの道。教え子たちの応援があったからこそ、「田吉」をオープンすることが出来ました。今でも先生と慕ってくれる教え子たち。「多くの人に支えられてるから今の自分がある」吉夫さん、感謝の気持ちでいっぱいです。