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2024年3月23日(土)

あらすじ

 奈津(檀れい)を娶り、仲睦まじく暮らす半兵衛(水谷豊)。その一方で勝谷(岸部一徳)は、半兵衛の身の回りの世話を奈津に取られてしまったとへそを曲げてしまう。半兵衛はそんな勝谷のために、半兵衛に「欲を捨てる」という隠居の作法を伝授した幸之助(前田吟)を訪ねるのだが、その幸之助は若い娘・花枝(大友花恋)に入れあげており、隠居生活などどこへやら。さすがの半兵衛も言葉を失ってしまう。

 そんな半兵衛らが暮らす江戸では火事が頻発。老中・松平定信(杉本哲太)は焼け出された町人たちへ公儀から下される給付金・下付金に頭を痛めていたが、半兵衛の息子で使い番の新太郎(田中偉登)は、部下の定火消・秋川(河相我聞)の活躍もあり上役からの評価を上げていた。

 勝谷、奈津とともに貧しい村の老人たちを慰問した半兵衛は、田畑を失い病に苦しむ仙吉(山口良一)を見舞う。娘のお里が江戸で金を稼ぐと家を出たまま連絡もない、と自暴自棄になる仙吉に半兵衛は娘を探してやると約束。仙吉を元気づける。

 帰宅した半兵衛らを新太郎が待っていた。部下の活躍で株を上げている新太郎だが、誰よりも早く火事の現場に到着する秋川の手際の良さに疑問を抱いているという。半兵衛は大火事にならず民のためになっているならと激励するが、それよりも焼け出された町民たちのことが気にかかる。かわら版の「火事場泥棒番付」によると、熊田屋が一番に儲けているらしい。そういえば店主の茂蔵(金田明夫)は、甘い言葉で焼け出された町民たちに金を貸しているようだ。半兵衛は新太郎に熊田屋を野放しにすべきではないと強く進言する。

 またも江戸の町に火事が発生した翌日、火付盗賊改方同心の文蔵(山中崇史)が半兵衛を訪ねてきた。頻発する火事のことで気になることがあるという。江戸を脅かす火事にまつわる、ある奇妙な偶然とは?

出演者コメント

水谷豊 コメント

――「無用庵隠居修行」も7作目となりました。撮影に入られての感想は?
「この『無用庵』が始まった頃でしょうか、時代劇がテレビで見られなくなってきた時代に入ってきて寂しかったんです。ですから面白い楽しい時代劇ができないものかと、吉川監督とお話をしていたんですね。その中でこの作品が実現して、今思えば、それがここまで続いたということは面白い時代劇ができているのかなと思います」

――その吉川一義監督と今回もご一緒された感想は?
「吉川監督とは『無用庵』が始まる前の『だましゑ歌麿』でもご一緒でしたからお付き合いは長いんです。ある時、(岸部)一徳兄さんにぜひ次にやる時は吉川監督なので、なんとかスケジュールを空けてご一緒してくれないかと言ったんです。吉川監督に会って欲しいというお話をして。そういう経緯で出て頂くことになったんですが、1作目を終えた時に一徳さんが本当に喜んでくださった。それが吉川監督のすごいところなんですね。僕の思いが伝わって嬉しかったですね」

――今回の撮影で印象に残ったことはありますか?
「最近は鏡で見るよりも撮影しながらモニター越しに自分の顔を見た方がカッコいいなと思えてきて(笑)。いや、7作目にしてそういう余裕が出てきましたね。ただ、これは映像にするスタッフがいかに素晴らしいかということだと思いますね。それが言いたかったんです(笑)」

――今回から半兵衛と奈津が夫婦として生活するようになりましたね。
「実は僕、結婚していたことをすっかり忘れていたんですよ。(檀さんに)半兵衛さんひどいですね、と言われたんですが(笑)。そうですね、僕も檀さんもお互いに落ち着きが出てきたような気がします」

岸部一徳 コメント

――「無用庵」も7作目ですが、時代劇がここまで続くことへの思いは?
「面白い時代劇がなにか一つちゃんと残って、それが続いていくということは大事なことだなと思います。もちろん、みなさんが面白いと思っていただいて初めて続けていけることなんですが。ただ、時代劇というジャンルは関係なくドラマという捉え方をすると、『無用庵』にはドラマづくりのものすごく大事なものが満載されているような気がして参加しています。ここの現場に入るといい仕事に出会っているなという実感が常にあるんです。だから、これも続いてくれればいいなと思っています」

――そう思われるのも吉川監督のお力かと思いますが、吉川監督については?
「一言で言うと素晴らしい監督ですね。年齢とか、キャリアとか、そういうところを見られがちですけど、吉川監督はどの若い監督よりも勝っていますね。それはカットであったり、時代の中の家族構成の作り方だったり、毎回驚かされます。よくこんな発想が出てくるなと。それぐらい素晴らしい監督だなと実感しています」

――半兵衛と奈津が夫婦として生活される姿をご覧になっていかがでしたか?
「半兵衛と奈津さんが仲良くしているところに僕が入っていくんです。そんなところに入りたくないですよ(笑)。でも、見ていていいシーンだなぁと思いましたね。いや、いいシーンでした」

――水谷さんがおじいさんに扮装されるシーンがありますが、ご覧になってどう思われましたか?
「衣装部屋の入り口のところに立っているおじいさんを見たんです。ちょっと水戸黄門みたいな人だな、誰だろうな?と思って。おじいさんが何をしに来ているんだろうと思ったら水谷さんだったので(笑)。遠目に見て、それぐらいわからなかったですね。こんなおじいさん出てたかなって。びっくりしました(笑)」

檀れい コメント

――7作目の「無用庵」となりました。ご感想は?
「毎年、変わらずみんなで集まって撮影出来るというのがうれしいですし、ここまでやってきて大人の方から『楽しいね』という声はいくつも届いていたんですけど、今回まだ小学生の姪っ子が『あの時代劇大好きなんだ』と言ってくれたんです。こんな小さい子もこの作品の面白さをわかってくれる、時代劇を楽しんでくれているんだな、というのをすごく感じて、この作品に出て良かったなと思いました。小さなお子さんから大人世代までが楽しめるドラマなんだと、改めて認識しました」

――今回も吉川監督との撮影でしたが、いかがでしたか?
「回を重ねるごとに、本当に素晴らしい監督さんだなという思いが強くなります。メインのストーリーを追うだけではなくて、その世界に生きている人々の生活までもストーリーとともに描かれるんですね。私たち3人がいろいろな話をしているときでも必ず動いているんです。私がお茶碗を洗っているとか、お茶を入れているとか。そうしながらもストーリーを追っていくようなセリフで会話劇が続いていく。それを長回しで撮るので、お芝居をしていてもとても楽しいですし、セリフを言っていない人の表情もテレビの前の皆さんはご覧になることが出来て楽しんでくれるような画作りになっていると思います。吉川監督とご一緒すると、お芝居の面白さをしみじみ感じます」

――今回の撮影で印象に残ったシーンなどはありますか?
「『無用庵』では毎回誰かが変装するんですけど、今回は私と半兵衛様とで年の離れた貧しい夫婦をやらせていただいたんです。そのときの半兵衛様のおじいちゃんぶりがすごくて、水谷豊さんだと誰も気づかないぐらい変わりましたよね(笑)。なので、お芝居もちょっとおじいちゃんっぽい表情をされたりして、そのシーンは私も一緒に出ていたんですけどオンエアが楽しみです」

――半兵衛と奈津が夫婦として生活を始められて関係性も変わられたのでは?
「今までは私が(半兵衛に)近づくと照れて嫌がっていたんですね。でも今回、半兵衛様が台から落ちそうになったところを私が抱きとめるシーンがあって、もう離しませんと言ったら逆に抱きしめてくれたんです。夫婦になったからこそ、嫌がらずに嬉しそうな顔をしてギューッとしてくれましたね(笑)」

出演者

水谷 豊 檀 れい 田山涼成 中山 忍 佐藤B作 橋爪 淳
市毛良枝 山中崇史 田中偉登 松風理咲 榎木孝明
大友花恋 前田 吟 河相我聞 小川菜摘 山口良一 橋本マナミ 金田明夫
杉本哲太 岸部一徳

ナレーション:夏木マリ

スタッフ

原作:海老沢泰久「無用庵隠居修行」(文春文庫)
監督:吉川一義
脚本:土橋章宏
音楽:遠藤浩二
制作:テレビ朝日・BS朝日・松竹株式会社