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2022年3月19日(土)

あらすじ

 将軍の姫君の嫁ぎ先問題に頭を悩ます老中・松平定信(杉本哲太)。大奥で絶大な権力を誇る御年寄・大曽根(友近)に厳しく問い詰められ、さすがの定信も言い返すことができない。折から江戸では麻疹が流行し、庶民は高い薬代に一苦労。その薬もいかがわしいまがい物が出回っているらしく、庶民に質素倹約を奨励する定信への風当たりも強くなっていた。

 そんな中、定信が何者かに襲われた。留守居役・桧垣(武田真治)の活躍でなんとか切り抜けたものの、警護すべき大番士の村西(木本武宏)らは恐れるばかりで全く役に立たない。怒りを露わにした定信は火付盗賊改・長谷川平蔵(榎木孝明)に大番士らを鍛え直すように指示。平蔵はその指南役を半兵衛(水谷豊)に依頼する。自分は隠居した身、やめた者がみだりに口を出すのも、という半兵衛だが、平蔵の依頼に悪い気はしない。勝谷(岸部一徳)と奈津(檀れい)にも背中を押され、平蔵の申し出を快諾する。

 師範として村西らが早々に音を上げるほどの厳しい稽古を課す半兵衛。とはいえ、自らも年齢には勝てず痛む体を久庵(佐藤B作)に診てもらうことに。そこへ薬問屋・相模屋の利兵衛(鶴田忍)の娘・お順(池間夏海)がやってきた。かつてお順に文字を教えていた半兵衛、聞けば大奥へご奉公に出るという。思わぬ吉報に顔をほころばす半兵衛だったが、久庵は大奥のお女中が次々と奇妙な死を遂げているというかわら版を手に不安を訴える。

 厳しい稽古を続ける半兵衛のもとへ、桧垣が様子を見にやってきた。半兵衛同様、厳しい稽古をつける桧垣と半兵衛は意気投合。夕餉でもいかがですかな?と自宅へと誘う。桧垣と帰宅した半兵衛を待っていた勝谷と奈津は顔色を変える。なんと桧垣は奈津の別れた夫だった。逃げるように家を出る奈津に、動揺した桧垣も後を追うように出て行ってしまう。勝谷から初めて事情を知らされた半兵衛も思いは複雑だ。

 一方、定信は姫君の件で大曽根からさらに激しく責め立てられ、苛立ちも頂点に。しかし、そんな定信の目を盗み、桧垣は密かに大曽根に接近していた…。

出演者コメント

水谷豊 コメント

 5年も続けていると「ただいま」という感じになりますね(笑)。

 『無用庵』がここまで続く人気の秘密は、僕にはよくわからないのですが、完成した作品を見るとね……面白いんです(笑)。今回の話も面白いですが、それに尽きるんじゃないかと思いますね(笑)。

 『無用庵』は吉川(一義)監督の手のひらで遊ばせてもらっている印象があります。時代劇では、当時の世相や生活する人々をリアリティ豊かに描かなければいけないのですが、その本物感がこの作品にはあるんです。この京都の撮影所に来るたびにそれを感じています。そんな本物感の中で僕らも演じているんだと思うと、とてもいいですね。

 今回は奈津の過去が明かされますが、それによって半兵衛のとても中途半端だった奈津への思いが一つ先に進むんですね(笑)(檀が笑顔で小さくガッツポーズ)。ただ、時代劇で男女の距離が近づくというのは現代劇とは違う。やはりなんともいえない距離感なんです。近づくようで近づかない、その微妙な距離感がとてもワクワクドキドキ。時代劇独特です。

 もう一つは大奥のウラの話。これがとても魅力的なんです。そのウラでどんなことが起きているのか。ぜひお楽しみにしてください。

 あとは我々の日常の生活ですね。そこが面白おかしく描かれながら、バランス良く奈津の過去、大奥のウラと絡んでいきます。ご期待いただきたいですね。

岸部一徳 コメント

 (コロナ禍で)最近は家にいる方も多いんじゃないかと思いますので、ドラマを見て楽しんで頂ければと思います。

 僕もこの『無用庵』を見て面白いと思いますね(笑)。その中でも、やはり水谷さんの魅力が大きいと思っています。回数を重ねていくことでの慣れとか、同じことをまたやるというのではなく、『無用庵』の生活を深めていっているような気がします。1年ずつ重ねることで、そこが魅力になっていると思います。

 少し笑わせるところもありますが、やっぱり品の良さが基本にあって、吉川監督がそういうものをすごく大事にされている。そこがちょっと他のドラマとは違うところかな、と思ったりもしています。

檀れい コメント

 去年の撮影が終わって今回クランクインするまで、世の中的にも皆さんそれぞれに色々なことがあった1年だったと思います。元気で再び『無用庵』の撮影ができたこと、スタッフも欠けることなく揃ったことが本当に嬉しいですし、無事に撮影を出来たことが感慨深いです。

 私の周りにも『無用庵』ファンが多くて、皆さんほっこり幸せになるのでしょうね。ドラマ上ではいろいろな事件や人間模様がありますが、そんな中、ほのぼのとほんわかとなる半兵衛様と勝谷さんの掛け合いは絶品です。私も笑いをこらえるのが苦しいぐらい楽しいので、見ている皆様もこの世界を楽しんでくださっているのではないかと思います。

 時代劇では私たちもその時代の空気感をまとって演じなければなりませんが、スタッフの皆さんがその世界観をしっかりと作り上げてくださいます。この撮影所の時代劇の匂いがするセットの中にいると、諸先輩方から繋がってきたものがあると、撮影をしながら感じています。

 今回、5回目にして半兵衛様がググッと奈津に近づいてきてくださいますので、私としては思い残すことはございません(笑)。でも、まだまだいきますよ。今回はその大きな一歩を得ることができたので、ね(笑)。

出演者

水谷豊 檀れい 田山涼成 中山忍 佐藤B作 橋爪淳
市毛良枝 山中崇史 田中偉登 松風理咲 榎木孝明
武田真治 友近 春海四方 新山千春 池間夏海 あめくみちこ
松金よね子 木本武宏 螢雪次朗 鶴田忍
杉本哲太 岸部一徳

ナレーション:夏木マリ

スタッフ

原作:海老沢泰久「無用庵隠居修行」(文春文庫)
監督:吉川一義
脚本:土橋章宏
制作:テレビ朝日・BS朝日・松竹株式会社