過去の放送

2020年8月29日(土)

あらすじ

 老中の定信(杉本哲太)が勘定奉行の天野(高嶋政伸)らと緊縮財政に四苦八苦している江戸。半兵衛(水谷豊)は、後継の新太郎(田中偉登)から、側用人の勝谷(岸部一徳)の様子がおかしいと相談を受ける。「さてはいい女でもできたのか」とニヤつくが、奈津(檀れい)に「ご自分はどうなんですか?」と言われると誤魔化すしかなく…。兎にも角にも放ってはおけない、と藤兵衛(田山涼成)とともに勝谷をこっそりと尾行する。
 すると案の定、勝谷は美しい女性となにやら蝋燭屋へ行ったり、旅籠へ入ったり。これは間違いないと確信するが、なんと藤兵衛の調べで女性が、志乃(手塚理美)という二本松藩士の奥方であることがわかる。「亭主持ちと密会か!」。これまた放っておけない、と半兵衛らは尾行を続けることに。
 しかし、半兵衛らの目の前で勝谷と志乃が暴漢に襲われ、志乃が斬られるという事件が発生!事態は一変してしまう。志乃の傷を久庵(佐藤B作)に治療してもらう一方で勝谷に事情を聞くと、ようやく勝谷は重い口を開いた。それによると、志乃は江戸で行方知れずとなった夫で二本松藩藩士、勘定方の伴助(鶴見辰吾)を探しに来たのだという。志乃とは旧知の仲という勝谷は、そんな志乃を助けていたらしい。
 勝谷らは、伴助が訪ねたという蝋燭問屋・坂本屋に行ったが、主人・喜三郎(石井愃一)は伴助が吉原でお気に入りの女を身請けするらしいと聞いたと証言。そこで吉原の店を調べたが、伴助を知る者はいなかったという。それだけで勝谷と志乃は命を狙われたのか?きな臭さを感じた半兵衛は、勝谷らに代わって調べを始める。やがて怪しげな事実が明らかになっていき…。

出演者コメント

水谷豊 コメント

 吉川監督の世界が散りばめられている「無用庵」が本当に楽しいんですよ。安心して思い切って向かっていける世界がここにはあるからでしょうか。そして、岸部さん、檀さんのお二人に会うのもとても楽しみにしていました。この作品は、言葉ではうまく説明できないのですが…楽しいですね(笑)。
 ここの現場で、ときどきチラッと映像チェックをすると、照明とか映像の雰囲気が素晴らしいんです。あまり自分にがっかりすることがないですね(笑)。時代劇ならではということもあるとは思いますが、見事な映像の中に自分がいるというのは嬉しいことの一つです。
 今日、檀さんの「半兵衛さまー!」という声を聞かせていただきましたが、久しぶりに黄色い声を聞いたなと(笑)。檀さんのおかげで華やいだ感じになりました。僕は設定としては「欲を捨てた」と言い続けながら、檀さん演じる奈津が近くにくると複雑で中途半端な気持ちになるんです。ちょっと俗世間に戻されるようなところがある、でも戻っちゃいけないと。その繰り返しですからね。でも、これがまるで誰も寄ってこないと、それはそれで寂しいんですかね。とにかく中途半端です(笑)。

岸部一徳 コメント

 僕も水谷さん同様楽しいですね(笑)。吉川監督、スタッフの皆さんと水谷さんが作り出す「無用庵」という世界、そういう「家」を作っていらっしゃる感じがします。そこにふっと帰ってくる感じ、久しぶりに帰ってきたなという楽しさがすごくあります。その理由の一つに吉川監督の高度な演出力、監督として尊敬できるという部分があるということで、それが楽しさにつながっていると思います。水谷さんはそんな雰囲気をきちんと作り出せる人なので、それらを一言でいえば“楽しいな”ということですね。
 この時代の武士の日常生活が普通に出ている作品です。他にそういうのはないと思います。侍の心得などというのはあるんですが、生活がこのドラマには見えるんです。そのおかげかここにいることが全然苦痛ではなく、むしろ楽しい。しかも、ちょっと勉強になったり、いろいろあるので来るのが楽しいですね。
 私も久しぶりに恋愛話に参加させていただきました。あまりそういうことがないので、ちょっとドキドキしました。いや、自分の中だけですけど(笑)。そういうのが脚本にあると、また別の楽しみになりますね。僕も少しは顔が二枚目になっているかなという…。そんなことはないですね(笑)。

檀れい コメント

 私も楽しいです(笑)。カツラを被って着物を着て水谷さんと一徳さんのお顔を見れば、“奈津スイッチ”が入ります(笑)。そして1年ぶりにこの現場に帰ってきて半兵衛様と勝谷様にお会いして「無用庵」をやるんだ、嬉しいな、という気持ちが湧いてきました。家で台本を読んでこういうシーンになるのかな、と想像するのですが、現場に来ると「こういう風になるんだ」といういい裏切りが吉川監督の演出にはあるんです。そこにいつも驚かされますが、また吉川監督の演出にさらに上から応える半兵衛様の演技に圧倒されます。私はそこについていくのに必死ですが、本当に楽しいです。刺激的な日々ですね。
 水谷さんの演技は、いつも何が飛び出してくるのかわからないので(笑)。それに対して奈津としてどう返すか、瞬発力が求められるんです。3度目になりますが、いつもドキドキしながら演じていますね。一方の岸部さんは慣れたもので、いろいろかわしつつもクスッと笑えるような返しをされるんです。まだまだ二人には割り込めないです(笑)。

出演者

水谷豊
檀れい 田山涼成 中山忍 佐藤B作
橋爪淳 市毛良枝 橋本マナミ 山中崇史 田中偉登 榎木孝明
手塚理美 六平直政 石井愃一 鶴見辰吾 遊井亮子 小川菜摘 松風理咲 高嶋政伸
杉本哲太 岸部一徳

語り:夏木マリ

スタッフ

原作:海老沢泰久「無用庵隠居修行」(文春文庫)
監督:吉川一義
脚本:土橋章宏
制作:テレビ朝日・BS朝日・松竹株式会社