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D日記 #345 マホーン湾/カナダ

ルーネンバーグが世界遺産として愛されている理由は、単に古い町並みが綺麗に残っているからだけではありません。18世紀に英国が描いた都市計画の骨組みと、海とともに育まれた造船や漁業の文化が、町そのものの形として息づいているからです。

町が開拓された1753年当時、ノバスコシアでの勢力争いに揺れていたイギリスは、この地に約1,400人の移民を送り込みました。ヨーロッパ各地のドイツ語圏やフランス語圏から集められたプロテスタントの人々です。彼らは、本国で綿密に設計された「モデルタウン」方式に則り、碁盤の目のように規則正しい街並みを築いていきました。

遠い異国の机上で描かれた都市計画が、250年以上の時を超えてほぼそのままの形で残っているという事実に、驚きを隠せません。屋根から突き出た五角形のドーマー窓「ルーネンバーグ・バンプ」に代表される独特な木造建築の伝統が、今なお大切に受け継がれている点もユネスコが高く評価した理由です。1995年、ユネスコがこの町を「北米に現存する最もよく残された計画的な英国植民都市」とたたえ、世界遺産に登録したのも深く頷けます。

歴史の波に飲まれることなく、人々の日常とともに穏やかに時を重ねてきた街路。この町を訪れる人々は潮風を感じながら歩き、当時の開拓者たちの息遣いと、海へ乗り出していった船乗りたちの情熱を静かに感じます。