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2019年12月13日

地球温暖化 最悪のシナリオ“臨界点”とは

地球温暖化 最悪のシナリオ“臨界点”とは

2019年、地球温暖化は、様々な形で世界中に牙を向いた。今年9月、カリブ海の島国・バハマに巨大なハリケーンが上陸。最大風速は82メートル。バハマ史上最強の勢力で上陸し、3日間停滞したことで被害は拡大した。死者は70人、行方不明者200人以上に上り、約7万人が家を失った。温暖化によって、ハリケーンや台風は強さを増す一方、乾いた場所では、より乾燥が進むとされている。アフリカ南部のジンバブエでは、この100年で最もひどい干ばつに襲われた。食料の草などが枯れ、象200頭以上が命を落とした。そして、本来なら膨大な水が流れ落ちているはずの『ビクトリアの滝』は、干ばつで水量が減り、完全に枯れてしまったところもあった。
世界各地で猛威を振るった異常気象。今、科学者の間では、最悪のシナリオが指摘され始めている。国立環境研究所の江守正多副センター長は「気温が徐々に上がっていった時にある“臨界点”、ある温度を超えると、後戻りできないような急激な変化が起こり得る」と話す。後戻りできない“臨界点”に近づいているとされるのが、氷で覆われた島・グリーンランド。北極圏の入り口にあたる島の南部で、今年8月、氷が解けて大きな川のようになっているのが確認された。ヨーロッパを襲った記録的な熱波の影響で、グリーンランドの気温も上がり、大量の氷が溶け出した。温暖化が進み、ある“臨界点”を超えると、こうした氷の融解が止められなくなるという。グリーンランドの氷の厚さは1500メートル以上ある。氷が解けると標高が下がる。標高が下がると、より暖かい空気に触れるため、さらに、氷が解ける。この悪循環に陥り、止められなくなるのが“臨界点”だ。江守副センター長は「それ以上、気温が上昇しなかったとしても、氷は解け続け、すべて解けるまで止まらない」という。こうした悪循環は、様々な場所で起こり得るとされている。例えば、熱帯雨林。今年、アマゾンは深刻な火災に見舞われた。火災や伐採、干ばつで森林が減少すると、森林から出る水蒸気が減少し、雨も減る。雨が減ることで木が枯れ、さらに森林が減少。“臨界点”を超えると、この悪循環に陥ってしまう。江守副センター長は「世界の平均気温の上昇は2度ぐらいといわれている。その“臨界点現象が連鎖する”恐れが指摘されている。

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