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特集

2019年8月15日

天皇家と“ひめゆりの塔”

初めて訪問された沖縄で、陛下は、戦争体験者から直に話を聞かれていて、帰りの車の中で陛下は「本当に戦争は、悲惨だな」と漏らされた。東京に帰られてからも「非常に思いの深い旅であった」と繰り返されたという。
上皇さまは子どもたちに、仲宗根政善さんが書かれた「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」を読ませていた。仲宗根さんはひめゆり学徒隊の引率教師だった。上皇さまが皇太子時代に初めて沖縄を訪問される際に、ある人を介して仲宗根さんに、直接、会いたいという意向を伝えられたが、仲宗根さんは亡くなった教え子のことを思うと、どういう態度でお会いしたらよいかわからないと、お断りになっていた。その仲宗根さんの本を、上皇さまは、今の陛下や秋篠宮さま、紀宮さまに読ませていた。

初めての沖縄ご訪問で、陛下だけでなく秋篠宮さまも、紀宮さまもひめゆりの塔を訪れていた。1991年にひめゆりの塔を慰霊された紀宮さまは、開館間もないひめゆり平和祈念資料館をご覧になられた。この時、資料館の展示内容などが盛り込まれたガイドブックを持って帰られたという。このガイドブックの話が、2年後、上皇さまが即位後、初めて沖縄を訪問された時に出てくる。資料館を案内した元ひめゆり学徒隊の本村つるさんは、上皇さまが、そのガイドブックを読まれていたと感じたという。本村さんは「私のお話と、そのガイドブックでご覧になったこととがピッタリとあって、よくこちらのことがお分かりになったのではないかと思う」と語っている。ひめゆり学徒隊の資料を、ご家族で共有されていた。ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長は「前の天皇陛下は、戦争に向き合って、しっかりとお子様たちにも戦争、沖縄戦のことをつなごうとされている。受け継ごうとされているなと思った」と話す。 夏休み、ひめゆりの塔には、大勢の親子連れが訪れていた。
天皇陛下は55歳の誕生日に際して「私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」と述べられた。

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