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#752
2020年12月13日

LIVEシンポジウム「バーチャル修学旅行」(後半)

【番組司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)
      八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)

テレビ朝日LIVEシンポジウム



【内容】
2020年10月24日(土)に開催。
全国から700人以上の中高生が参加した「バーチャル修学旅行で歴史を学ぼう 広島・長崎・沖縄」の模様をダイジェストで2回に分けて放送する後半。


<LIVEシンポジウム>とは
社会課題の解決に向け、テレビメディアとして付加価値のある情報を、時間と空間を超えお届けするオンラインLIVE。

第1回は「バーチャル修学旅行で歴史を学ぼう 広島・長崎・沖縄」。
コロナ禍で中学校、高校の修学旅行が相次いで中止となり、広島・長崎・沖縄など現地での体験、学習の機会が失われているため、修学旅行の秋に「学びの場」を提供。

講 師:サーロー節子、森保一(サッカー日本代表監督)、りゅうちぇる
解 説:保阪正康
案内人:大下容子(テレビ朝日アナウンサー)


サーロー節子(88)
広島で13歳のとき被爆。351人の学友、そして姉や甥ら9人の親族を亡くした。
壮絶な被爆体験を語り続け、核兵器禁止条約の国連採択に大きな役割を果たし、2017年のノーベル平和賞受賞式で講演、多くの出席者の心を動かした。
今年は世界197か国の首脳に条約の批准や推進を求める手紙を送るなど、88歳の今もその行動力は衰えることはない。

森保一(52)
長崎市出身。被爆2世を自覚し、サンフレッチェ広島監督時代から平和資料館に足を運ぶなど、原爆の悲惨さについて学び、世界に向けても平和の尊さを発信してきた。
「原爆投下を絶対に忘れてはならない。二度と同じことがないよう、自分の出来ることをやっていきたい。」と話し、選手に対しても平和の尊さを説くとともに、「苦しんできた人の励ましになるように試合に臨む。社会に役立つ選手であれ。」と話している。

りゅうちぇる(25)
祖母が沖縄戦で集団自決から逃れ生き残った。
おばあから当時の体験を聞き、沖縄戦の悲劇を風化させないよう、後世に伝え続ける大切さを訴える。
自分たち、孫の世代が受け継ぎながら、「前向きに沖縄のことを知って欲しい」と発信続けている。

解説:ノンフィクション作家 保阪正康
近現代史研究で知られ、戦前、戦中と日本の指導者とその人物が生きた時代をもとに分析し、「昭和史」の実証的な検証を行ってきた。
客観的な事実から分かりやすく歴史の紐を解きほぐす。


<2時間目 長崎 講師:森保一>
広島への原爆投下から3日後、2発目の原子爆弾が落とされた長崎。
サッカー日本代表監督・森保一さんは長崎でサッカーと出会い、長崎の高校を卒業後、広島でプロサッカー選手になり、その後、東京オリンピック世代の代表監督に就任。
広島や長崎を選手たちとともに、戦争の歴史に触れる機会を持てるようにしている。

<森保一>
「平和だから自分の好きなことができる幸せをかみしめてプレーし、今を楽しむことを選手たちには表現してもらい、平和を発信できたらと思っている。」

~生徒からの質疑応答~
<東京純心女子高等学校の生徒>

Q 選手に平和について関心を持ってもらうためどうしている?

<森保一>
サッカーはルールがあって試合ができる。
ルールを破ると喧嘩、憎しみ合う事につながっていく。
これは世の中で考えると、戦争や争いになっていく、ルールを守ったうえでお互い競っていきましょうということを、選手たちには話している。


<3時間目 沖縄 講師:りゅうちぇる>
太平洋戦争末期、国内最大規模の地上戦が繰り広げられた沖縄。
高齢者や女性、子供など、多くの住民が巻き込まれ、命を落とした。
アメリカ軍に捕まると殺されると信じ恐れていた住民は、避難していた豪の中で家族同士で殺し合ったり、手榴弾などで命を絶つ集団自決も相次いだ。

りゅうちぇるさんは小学生の時、学校の課題で祖母から集団自決を経験した話を聞いた。
また沖縄戦で、日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる6月23日は、「慰霊の日」として休日になっているだけでなく、正午にサイレンが島中に流れ、沖縄の方言で「うーとーとー」と言う黙とうをして、平和を祈っている。

18歳で東京に上京した時、誰も「慰霊の日」「う―とーとー」の文化を知らないことに驚き、語り部が少なくなっていく今、自分なりに戦争の悲惨さを引き継ぎ、伝えていくためSNSなどで広めるようにしている。

~生徒からの質疑応答~
<茨城県立水戸特別支援学校の生徒>

Q みんなが優しく仲良くしていくためには?

<りゅうちぇる>
ひとつのメディアを見て決め付けるのではなく、現地の人と直接コミュニュケーションをとるなど、自発的に確認や調べることが大事。

<保阪正康>
~沖縄の歴史を知り学ぶべきこと~
軍が考えていた作戦によると、日本全体が沖縄と同じ状態の戦争になるはずだった。
戦争が終わり「沖縄戦」と切り離すが、みんな沖縄戦と同じ状況になる戦争だった。
沖縄の人たちの証言は、他人事ではない。痛みを共有し、自分たちの歴史だと認識すべき。