♯10「ニュアンス」


先日、ランディ・ジョンソンさんにインタビューしました。
野球ファンの皆さんなら説明の必要ないですよね?
あのランディ・ジョンソンです。
テーマは「球を早く投げるコツ」だったんですが・・・。

今までも何度か経験しましたが、外国人にインタビューするということは、当然、通訳さんが間に入ります。これが、難しいんです。

日本語であれば、同じ言葉でも、言い回しやニュアンスってありますよね?
それによってこちらの質問の意図が伝わります。
相手が日本人選手の場合、
「ズバリ!速い球を投げるにはどうしたらいいんですか?!」
と聞くと、
「あーこの人は簡潔に具体的なポイントを聞きたがってるんだな。」と察してくれます。
「ズバリ」とか、「!」の部分で察してくれます。

しかし、外国人の場合、これができない・・・。

「速い球を投げるためのポイントは何ですか?」と聞いても、
「それは人それぞれだよ。僕も長年かかって身につけたものだから、一言では言えないよ。」
と、なってしまうのです。

40分近くインタビューしたんですが、なかなか思うような答えを引き出せず・・・。
なんとなく重たい空気の中、終盤に差し掛かったそのとき。
シミズの前にはディレクターからの、こんなカンペが!

「ランディさんにとってピッチングとは?」

ゾッとしました。背中に冷や汗が走りました。
「そんなこと聞いたら、そんな簡単には言い表せないよ、と言われてしまう!こわい!!」

とりあえず聞きました。
「ランディさんにとってピッチングとは何でしょうか?」素直にカンペに従いました。
通訳さんが訳そうとしたその瞬間!!
「短く!簡潔に言うとすれば!!!」シミズは叫んでいました。
通訳さんも慌てて、それを訳してくれました。

するとランディさん、フフッと軽く笑ったあと

「 enjoyment! 」

まさしく短く簡潔に、答えてくれたのです。

体だけではない、心もビッグユニット。