題名のない音楽会 毎週日曜あさ9時

1月12日の楽曲紹介

♪1:「松島」より 櫓拍子の合の手
作曲 : 六世 岸澤式佐
常磐津三味線 : 常磐津文字兵衛
           常磐津菊与志郎
日本三景の松島の雄大な景色に舟を漕ぎ出す様を表現。「合の手」とは歌のない演奏部分のこと。明治17年(1884年)作曲。常磐津の作曲法が多く含まれ、現在も演奏される機会が多い作品。
♪2:「勧進帳」 より 瀧流しの合方
作曲 : 四世 杵屋六三郎
長唄三味線 : 杵屋三澄那
         杵屋五章
歌舞伎の演目で有名な「勧進帳」の一部であるが、この部分は現在の歌舞伎では演奏されず、演奏会で単独で演奏される機会が多い。上調子という高い音の三味線との合奏で演奏される。「合方」は常磐津の「合の手」と同じ意味で、歌のない演奏のみの部分のこと。
♪3:「尾上の松」より 手事部分
三絃 : 作者不詳
箏 : 宮城道雄  手付け
地唄三味線 : 高畠一郎 
箏 : 帯名久仁子
古くから伝わる曲で、一時期ほとんど演奏されなくなったが、大正時代に箏曲の大家である宮城道雄が箏の演奏をつけ人気となり、現在は流派を超えて演奏される名曲となった。地唄は演奏しながら歌う「弾き唄い」が基本で三味線と箏の両方を演奏できる奏者が多い。
♪4:義太夫 「新版歌祭文」野崎村の段より
義太夫三味線 : 鶴澤三寿々
油屋の娘・お染と丁稚・久松が恋仲になり、最後に心中する歌舞伎や浄瑠璃で有名な物語。「野崎村の段」は主人公の二人が心中する悲しい場面の前に華やかに演奏される。本来は複数で演奏される曲だが、今回は音色の特徴が分かり易いように単独で演奏。
♪5:グノシエンヌ 第1番より  ―三味線四重奏バージョン―
作曲 : E.サティ
編曲 : 五世 常磐津文字兵衛
三味線 : 常磐津文字兵衛
      高畠一郎     
      鶴澤三寿々
      杵屋三澄那
フランスの作曲家エリック・サティが1890年に作ったピアノ曲。前年開催されたパリ万博で聴いたルーマニア音楽の影響を受け、作られたと言われている。
♪6:三絃四重奏曲 第6番 より 「紅木槿」
作曲 : 五世 常磐津文字兵衛
三味線 : 常磐津文字兵衛
      高畠一郎     
      鶴澤三寿々
      杵屋三澄那
1858年に杵屋正邦が作った三絃四重奏曲に魅力を感じ常磐津文字兵衛が1999年から取り組んできた三絃四重奏曲の最新作。4種の三味線の音色や特性を生かし、2013年に7つの小品から成る第6番を作曲。
♪7:三絃四重奏曲 第1番 より
作曲 : 五世 常磐津文字兵衛
三味線 : 常磐津文字兵衛
      高畠一郎     
      鶴澤三寿々
      杵屋三澄那
1999年初演、常磐津文字兵衛初の三絃四重奏曲。音色の衝突や不協和音を意図的に使用した挑戦的作品。この作品をはじめとして三味線の様々な合奏の可能性を模索、現在まで計6作の三絃四重奏曲を発表している。