題名のない音楽会 毎週日曜あさ9時

5月29日の放送内容

箏の名曲はキリシタン音楽?

箏の名曲「六段」は、実はキリスト教徒が祈りを唱える際に歌っていたグレゴリオ聖歌「クレド」をベースに作られた曲だったのでは?
こんな大胆な論文を発表した中世音楽史の権威・皆川達夫さんをお招きし、当時の日本におけるキリスト教事情から見える「東西の音の交流」に迫りました。
♪皆川達夫(音楽学者)、野坂操壽(箏)、山田五郎、中世音楽合唱団   他

出演者

○皆川達夫  みながわ たつお /音楽学者、中世・ルネサンス音楽史専攻 東京生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院修了。1978年イタリア政府よりキリシタン音楽研究の功績によってカヴァリエーレ勲章を授受。2003年論文「洋楽渡来考」により芸術学博士号を受ける。NHK「バロック音楽の楽しみ」「音楽の泉」の解説を担当、2009年NHK放送文化賞受賞。近著『洋楽渡来考―キリシタン音楽の栄光と挫折』ほか著書多数。現在、立教大学名誉教授、中世音楽合唱団(1952年設立)主宰。 ○野坂操壽  のさか そうじゅ /箏曲家 幼少より母・初代野坂操壽に手ほどきを受け、古典箏曲・地歌三絃を学ぶ。東京藝術大学修士課程修了。古典から現代曲まで幅広いレパートリーと極めて優れた演奏が常に高い評価を集める、現代日本を代表する筝曲家。これまで芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章、中島健蔵現代音楽賞、旭日小綬章など受賞多数。また、二十絃箏・二十五絃箏の開発・発表でも知られる。現在、桐朋学園芸術短期大学教授、生田流箏曲松の実會主宰。 ○山田五郎  やまだ ごろう /編集者・評論家 1958年東京都生まれ。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し西洋美術史を学ぶ。卒業後、(株)講談社に入社『Hot−Dog PRESS』編集長等を経てフリーに。幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。 ○中世音楽合唱団   ちゅうせいおんがくがっしょうだん 日本ではバッハ以前の音楽を殆んど聴くことができなかった時代に、中世・ルネッサンスの合唱曲を演奏する目的で1952年創立。また、フランシスコ・ザビエルが日本にもたらした西洋音楽に関わりのあるグレゴリオ聖歌の演奏にも携わる。約60年間、一貫したテーマで存続するのは、創立者、指揮者、解説者であられる皆川達夫先生の音楽に対する真摯さによるもの。本年5月28日(土)トッパンホールにて17時より第62回定期演奏会開催。