題名のない音楽会 毎週日曜あさ9時

5月29日の楽曲紹介

♪1:千々の悲しみ
作曲 : ジョスカン・デ・プレ

指揮 : 皆川達夫
合唱 : 中世合唱団
演奏 : 神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団
1582年(天正10年)、九州のキリシタン大名によってヨーロッパに渡り、ヴァチカンでローマ教皇の謁見を賜った4人の少年、いわゆる「天正少年使節」がいました。彼らはヨーロッパの人々に日本を知らしめ、同時にヨーロッパから土産物として印刷機など持ち帰りました。洋楽演奏も習得し、帰国した翌年の1591年にこの作品を秀吉の前で演奏されたと皆川達夫さんは推測されています。
ジョスカン・デ・プレ(1440頃〜1521年)はミサ曲や世俗曲を多く作曲した、盛期ルネサンス時代の代表的な作曲家です。
♪2:「クレド第1番」 より
【グレゴリオ聖歌】
指揮 : 皆川達夫
合唱 : 中世合唱団
演奏 : 神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団
ローマ・カトリック教会では、9世紀あたりからグレゴリオ聖歌という単声の典礼聖歌がひろめられ、13世紀に至るまで代表的典礼音楽として発展しました。ミサ曲の中でもキリスト教徒が信仰宣言する【クレド】は、ザビエルが日本で布教した際にも欠かせない1曲として存在しました。音楽と言うより、長文のお経を読み上げているような曲です。グレゴリオ聖歌は時代によって6種類のメロディが存在しており、今回は一番古く、元となっている1番のメロディで演奏します。
♪3:「六段」 初段
作曲 : 不詳
箏 : 野坂操壽
筝曲の代表的な伝統曲で、八橋検校(1614〜85年)の作曲と伝えられていましたが、成立には謎が多く、作者不明となっております。その主な謎としては、通常、筝は歌を伴いますが、この「六段」は純粋な器楽曲であることがあげられます。また皆川達夫さんは、「六段」という6つの部分からの構成は16世紀スペインで始まった変奏曲の形式「ディフェレンシアス」から来た、と考えられています。形式がよく似ており、以前より皆川さんは「六段」は西洋の影響を受けていた、と指摘しています。
♪4・5:「クレド 第1番」 & 筝曲「六段」(初段・二段) の合奏
指揮 : 皆川達夫
箏 : 野坂操壽
合唱 : 中世合唱団
演奏 : 神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団
M4では主要部分の抜き出し演奏をすることで、いかにこの2曲がぴったり合っているかをご説明しました。
M5では、「六段」の初段・二段に該当する部分を「クレド」と合わせました。