｢ジャンプの瞬間に、スキーや体に風が当たるんですね。
そうするとグーっと上昇して、自分が鳥になったような気分です。」

ジャンプとクロスカントリーという２つの異なる種目の合計で争うノルディック複合。 1992年、世界的にもまだ珍しかったＶ字ジャンプをマスターし、
オリンピック２大会連続金メダルを獲得した彼。

中学一年でノルディック複合を始め、国内のクロスカントリーでは敵無し。
しかしそんな彼にも大きな課題が･･･

｢ジャンプがメッチャクチャへたくそだったものですから。
このままでは自分は世界では通用しない。」
２種目をこなせない以上、メダルは不可能･･･そこで彼はオリンピックのわずか一ヶ月半前、 ジャンプの飛距離を伸ばすべく、大きな決断を下します。

｢今、Ｖ字ジャンプをやらなくてどうするんだ！」
通常、１年以上を要するジャンプスタイルの変更。周囲から無謀とも言われた
Ｖ字ジャンプへの挑戦が始まりました。

｢朝から晩までジャンプ台にいて、多い時では５０本位飛び込みました。」
彼は決して諦めることなく、他の選手の５倍もの本数を飛び続けたのです。

そして迎えたアルベールビルオリンピック。
世界の舞台で見せたＶ字ジャンプは、金メダルに導く見事なＫ点超えを果たしたのです。

｢戦う者である以上、とにかく１番を目指す。勝利を目指す」