世界が認めた 奇跡の指先 クロースアップ・マジシャン 前田知洋
「クロースアップ・マジックは、すぐそばで見せるのでステージが必要なわけでもないし、
目の前にトランプだったり、コインだったりあれば不思議なことができる。」
観客の目の前で行う、クロースアップ・マジックを日本に広めた第一人者として、
2002年マジシャン・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、世界的に活躍するマジシャン。
幼い頃から、マジシャンに憧れを抱いていた彼。
大学卒業後、修行のため渡ったアメリカで、クロースアップの世界に魅せられ、
帰国後、日本での活動を計画します。ところが・・・
「当時日本のブームとして、女の人が箱に入って、切られたりですとか、トラが出てきたり、
そういう大掛かりなマジックが非常にもてはやされている時代で、クロースアップ・マジックでは食べていけないよというアドバイスは何百回と受けましたね。」
地味で、少数の客を相手にする彼のマジック。
馴染みのない日本での評価は、低いものでした。しかし・・・
「こんなに楽しいマジックなんだから、一度に見せれるお客さんが少なくても、
みんな喜んでくれるに決まっている。」
「見たい」というお客さんが一人でもいればホテルやレストランなどへ足を運び、
地道に魅力を伝えていきます。さらに・・・
「お客さんとうまくコミュニケーションをとるために、ボイストレーニングを習ったり、
体を美しく動かすため、クラシックバレエなんかも習いましたね。」
一方的に見せるステージマジックとは違い、お客さんとの距離感を大切にする彼のマジックは話題となり、大ブレイク。世界中のマジシャンが憧れるイギリス・マジック界最高位の 「ゴールドスターメンバー」にも選ばれ、世界にその名をとどろかせたのです。
「見えない部分を大事にする、何かそこに努力や苦労があったことが、
熱意として、伝わるような気がしています。」