Vol.13「シンクロ立花ソロで銅メダル!」
7/19PM 22:08 ReportedBy宮嶋泰子

皆さん!シンクロナイズドスイミングのソロ決勝、
ご覧になりましたでしょうか。
19時から20時24分までテレビ朝日で放送いたしました。

いやあ・・・真の世界一決定戦とはよく言ったものです。

オリンピックにはソロの種目がなかっただけに、ここでソリストとして世界一になるべく、自らを研ぎ澄ましてきた女たち。

演技終了後のブルスニキナ
 

とりわけ今年は実力伯仲。
水中で美しく熱い戦いが繰り広げられました。

三強の中で一番早く演技をしたのは、ブルスニキナ。

ヨーロッパカップを制したロシアのブルスニキナ。
シドニー五輪では「空手」の演技でデュエットで金メダルを獲得した選手です。
その美しい手の動き。手のひらが千夜一夜物語のテーマに乗って蝶のように舞うのです。

今日は完璧でした。
そのブルスニキナでも入水する前に手が震えていたほど緊張していたようです。
演技を終えて「満足です」と一言。

得点は…

TM 10 10 10 9.9 9.9
AI 9.9 10 10 9.9 10

自分の演技を終えた段階でほぼ金メダルを手中にしました。

演技直後の立花選手
 

そして立花美哉選手。
テクニカルルーティンで、ひとつひとつの技を、思い切りよく演じ、井村コーチに
「こんな思い切って演じた立花を初めて見た。誉めてあげます。」と言わせましたが、
その言葉どおり、この大会の1週間の間に、彼女自身が大きく変化を遂げたようです。

競技開始の一時間前、デュエットのパートナーの武田選手もこう言っていました。
「いつもは美哉さんは結構試合になると内にこもられるんです。近づきがたい雰囲気になるんですけれど、今回は普通に会話をしはるし、今までとぜんぜん違う雰囲気です。」
4年間デュエットを組んでいる武田選手が言う言葉だけに信憑性があります。
きっと何か吹っ切れたものがあるのかもしれません。

立花選手の今日の演技にはパワーがありました。
突き抜けるような力強さ、そして、うちから湧き出て、外へ向かう輝き。

これまで立花に足りないと言われたものが今日は立花選手の体からあふれ出ていました。
ダイナミックでした。

得点は…

TM 9.8 9.8 9.9 9.7 9.7
AI 9.8 9.8 9.8 9.7 9.9

「自分でも、注意されていた点ができたので、満足です。」と晴れやかな表情。
立花選手は演技終了後もテレビのモニターに見入って、次の演技者のデデューをじっと見つめていました。

満足げなデデュー選手
 

デデューのスコアーが立花選手を上回り、立花選手の3位が決定しますが、メダルの色とは別に、今夜の彼女は素晴らしく輝いていました。
井村コーチも「よくやりました。今までの美哉では考えられないくらい。」と満足げな様子。

そして、フランスのデデュー。
テクニカルルーティーンで思わぬミスを出して、持ち点で3位につけていたものの、天性の動きのしなやかさと強さをこれでもかと言うほど見せ付けます。
黒猫の持つしなやかさ、したたかさ、スピードを滑らかな動きと激しい動きをミックスさせて独特の動きで表現。
猫がそっと獲物に近づいていくような脚の動きは秀逸。
永久保存版の躍動美。

ブルスニキナがバレエの美しさだとすれば、デデューはモダンダンスの美とでも言えばいいのでしょうか。
魅了されました。

得点は…

TM 9.8 9.8 9.9 9.7 9.7
AI 9.8 9.8 9.8 9.7 9.9

さて、今日のジャッジをご紹介しておきましょう。

TM 1イタリア、2フランス 3チェコ 4エジプト 5メキシコ
AI  1カナダ 2オーストラリア 3英国 4スウェーデン 5日本

さあ、ここでおうおなじみになりました。
辛口評論でおなじみ、ソウル五輪銅メダリストの田中ウルヴェ京さんにうかがってみましょう。

「今回ほど充実したファイナルを見たのは初めてです。
史上まれな凄いメンバーで12人が12人とも面白かったですね。」

「まずブルスニキナですが、なんちゃん(南原さん)がうまい表現をしていました。ブルスニキナは水のまとわり方が違いますねって。
そう、彼女の身体にベールのように水がまとわりつくのです。その美しさをかもし出すのは彼女独特のものでしょうね。
技も見るものをうならせるもので、減点できないものなんです。」

「個人的にはデデューの演技が好みですね。ブルスニキナとデデューは比べることができない、いわゆる芸術のカテゴリーが違うという感じなのです。
もう、これは好みの問題ですね。」

「デデューが選手経験者に受けるのは、彼女が選手たちが目指していた完璧を演じるからなんです。理想的な高い立ち泳ぎ、飛び上がったときに腿まで出て、さらにはその間から向こう側の景色まで見える高さ。そのバネの素晴らしさ。」

「立花選手も今日は良かったですね。この一週間で強いコアな自信をつけたんじゃないでしょうか。今までは試合に対する怖さを隠しながらの笑顔でしたけれど今日は余裕のある笑顔でしたもの。」

「今までの立花美哉選手の演技の中で最高のものがこの大舞台で出たとおもいますよ。今日はひいきめでなく、辛口になれませんよ。」

メダリストたちの記者会見が別室で行われました。
ここで3人の記者会見でのコメントをご紹介しましょう。

ブルスニキナ: とても幸せです。この勝利のために非常に長い時間をかけてきました。
私のメダルコレクションの中にはこのソロの金メダルだけがなかったので本当に幸せです。

シドニーの金メダルを一緒にシドニーで取ったキセレワは引退しましたが、それは私にとっては意外なことではありませんでした。
彼女は私より4歳上で、スポーツに疲れていたのでしょう。
これからも私はソロだけではなく、いろいろな種目をやっていくつもりです。

 
Q: みんながあなたの優勝を疑わなかったと思うが、それに対して自分の気持ちを福岡入りしてからどう持って行ったのか?
ブルスニキナ: 金メダルをとることを目標にはしてきたが、シンクロの高いレベルをみんなにお見せすることが目的でした。まったく緊張していなかったわけではないのです。
私にも直さなければならない点はたくさんあります。ライバルよりもいい演技をして金メダルをとろうと思っていました。
 
ポリャンスカヤコーチ: ご存知のようにシドニーのためにつらい練習をしてきました。健康を回復し休息することを考えました。
次の4年間のことを考えました。ヨーロッパ選手権9個のメダル、世界選手権では2個、オリンピックでは2個。これらをずらっと並べて、
足りないのは世界選手権のソロの金メダルだけでした。それだけに集中し、他の種目を休んで、これにすべてをかけるということになったのです。
 
Q: デュエットのパートナーをすでに考えているのでしょうか。
 
ポリャンスカヤコーチ: 挑発的な質問ですね。次の五輪に向けてやっていくつもりです。まだオルガは22歳ですから。パートナーに関してはまだ秘密です。
人材は豊富にわが国にいるので、問題はないでしょう。 
デデュー: 私は自分の成績に本当に満足しています。水の中のテクニックがとても難しかったです。
テクニカルルーティーンでは思ったように点が出なくてがっかりしたのですが、最後まであきらめず、このフリーで思い切って演技をすることができました。

98年にもメダルをとっているが、今回はよりうれしいです。今回のプログラムを素晴らしく演じられてうれしい。

今回日本にきたのはメダルをとるためにきたのですが、正直きつい戦いでした。
98年に比べて、第一にコーチが変わりました。練習がしやすかったですよ。テクニック部門に力が入れられ、友人のように信頼してできました。

勉強との両立は、確かに難しいけれど、これからどうするかはまだわかりません。

これから3種目をすべてやっていくのは無理です。これからどうするかオーガナイズをしていかなければならないでしょう。

水面下での演技も難しいが、少し自信が出てきました。

ジャッジの心の中でヒエラルキーというか、メダルの順位ができているかもしれないのですが、銀メダルをとってやれる自信ができました。

ファンテールと言う黒い大きな猫を演じたのですが、性格を演じる面でも自分にあったプログラムだと思います。

 
マサルディエコーチ: 彼女の能力はいつ泳いでも代わらないですね。その能力に私は感嘆しています。
立花: 自分の目指していたスケール感の大きさなどに関し、まだ足りないところはあるが、自分ではできたと思うので満足しています。

明日のデュエットに関して、今日のソロとはまったく違うものが求められているので、しっかり気持ちを切り替えて明日がんばりたいと思います。

4年前の世界選手権ではすべての面において未熟な面があって、3位にはなりましたが、ふさわしかったかどうかわかりません。

今回は二人の選手に近づくことはできなかったが、満足行く演技ができたとおもいます。

 
井村: 9回目の世界選手権だが、今までの中で最も素晴らしいソリストが集まった大会でした。
彼女が満足ができる演技ができたので、私はそれで満足しています。

シンクロにはソロ、デュエット、チームがありますが、私はソロは芸術だと思います。ブルスニキナもデデューも芸術面をもっている。二人の選手に拍手を送りたいですね。

この芸術面の強化をしない限り、日本は一段上のステップにはいけないだろう。これからは芸術面の強化が必要でしょう。

さあ、ここで決勝の結果をお伝えしておきましょう。

メダリストの記者会見
 
1位 ロシア ブルスニキナ
2位 フランス デデュー
3位 日本 立花美哉
4位 米国 コズロワ
5位 スペイン メングアル
6位 カナダ カーバーディアス

さあ、気持ちを切り替えて、明日はデュエット。
日本初の世界水泳金メダルなるか!
皆さん応援しましょう!!
  

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