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宮嶋:
今回の「聞きたい!」は特別バージョンです。
歌舞伎役者の市川猿弥さんをお招きしてお話をうかがいました。
歌舞伎の役者さんとご一緒する機会などめったにないせいか、アナウンス部の面々も猿弥さんの一言一言に真剣に耳を傾けていました。結構役者さんとアナウンサーには共通するところもあるようですよ。

猿弥さんは昭和42年生まれ、猿之助一門の部屋子で、「西遊記」では猪八戒の役などをなさり、台詞のとおりが良いと大変評判の役者さんです。
あっ!部屋子と書きましたが、ご存知ですか?「部屋子(へやご)」とは子役のときから幹部俳優の部屋に預けられ、楽屋での行儀から舞台での芸など、役者として必要なことを仕込まれる立場を言います。

まずは、おしゃべり上手の猿弥さんと古澤アナウンサーのトークがひとしきりありました。
それではめったに聞けないお話の数々・・・・お楽しみください。


 
猿弥:歌舞伎の世界は世襲制で門閥の世界なんです。代々の歌舞伎の家柄で形成されている一門がほとんどなんですが、そのなかで例外的に、市川猿之助一門は親が役者ではない人たちも積極的に取り入れているんです。

古澤:猿弥さんご自身もお父様は役者さんじゃありませんよね。

猿弥:ええ、うちは製本業をやってました。三歳の頃に児童劇団で演劇を始めたんですが、歌舞伎の音羽グループという歌舞伎の子役の集団に見出されて、小学校低学年の時に歌舞伎の舞台に出るようになったんですよ。そうして猿之助師匠のところに入門したんです。

古澤:猿之助一門と言うのは他の歌舞伎の一門とはちょっと違うんですね。

猿弥:そうですね。弟子の中から大抜擢して役を与えたりしますからね。入門したての弟子に台詞のある役をつけたりとか、他の一門では決してやらないことをやっているんです。歌舞伎役者というのはみんな松竹所属なんで、その松竹の考え方といつも闘いながらやっていますよ。

古澤:役者さんが松竹所属のタレントさんだったとは知りませんでした。猿之助さんというとスーパー歌舞伎で有名ですね。

猿弥:もともと古典歌舞伎と言うのは伝統のものですから、テンポがゆったりしていることもあり、観客が眠ってしまうこともしばしばなんですね。そこで、猿之助師匠は、オペラや様々な演劇様式からアイディアを得て、邦楽以外のものを入れてみたりして工夫をして、よりエンターテイメント的にしているんです。全体のテンポも変えたり、宙乗りなんていう外連(けれん)もたくさん入れてね。(注:外連とは演劇用語で見た目を狙った演出で、早替わり、宙乗り、水芸などをさす)

古澤:スーパー歌舞伎は本当にダイナミックで面白いですね。僕はスーパー歌舞伎から入門して、と言っても、今だにスーパー歌舞伎しか見ていないんですが・・・(笑い)、もうすっかり虜になっていますよ。「ヤマトタケル」「新三国志」とか、何度でも観たいと思いますね。いつも、スーパー歌舞伎は新橋演舞場で演じられていますよね。

猿弥:古典歌舞伎は歌舞伎座で、スーパー歌舞伎は新橋演舞場で行うんですよ。新橋演舞場は、回り舞台や宙乗りの演出が多いスーパー歌舞伎を上演するのにはとても適しているんです。古典歌舞伎とスーパー歌舞伎は違いますから、二つとも見ることを勧めますよ。

古澤:そんなに違いますか・・・・実は、僕はワイドスクランブルと言う番組の企画で、4年程前、歌舞伎に挑戦をさせていただいたんですね。顔に隈取をして、歌舞伎の衣装を着て、花道をすり足のような感じで歩き、なんと、みえまで切らせていただいたんですよ。それからもうすっかり歌舞伎にはまってしまいました。でも実はまだ古典歌舞伎を楽しむところまではいっていないんですね。どうすれば古典歌舞伎をより楽しく観る事ができるんでしょうか。

猿弥:古典歌舞伎を見に行く時は、あらすじを知ってから行くといいですね。面白いストーリーの芝居から入るのがコツですね。最初に、「この先どうなるんだろう」って思いながら観られると、すうっと引き込まれると思いますよ。
または贔屓(ひいき)の役者をつくることですね。その役者さんを見に行く事です。

古澤:贔屓の役者さんとして僕たちは猿弥さんを見に行こうと思えばいいわけですね。

猿弥:右近さんとか、笑也さんとか、段治郎くんとか、贔屓の役者さんを作ってみることですね。皆さんそれぞれ魅力ある役者さんですよ。


宮嶋:
市川猿弥さんのお話はここから歌舞伎役者の稽古の話、歌舞伎界の昇進システムの話、色々と広がっていきました。アナウンサーたちからも質問が飛び出しました。

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聞きたい!
  「聞きたい!」は、タイトル通り、「聞いてみたい!」をキーワードに、アナウンサー達の意外な趣味や、オフの過ごし方、はたまた、若手アナウンサーから、ベテランアナウンサーに、アナウンサーとしての記憶に残るあの瞬間を聞いてみるなど、様々な「聞きたい!」をご紹介していく予定です!
請うご期待!!
 
    
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