まあ、採用側から言わせてもらうと、放送研究会に入っていても入っていなくても、あまり関係ないかな。一番大事なのは、学生時代、それこそ10代から20代になる一番大事な時期をどう過ごしたかっていう事じゃないかな。だからこそ、「サッカーを一心不乱にやっていた」…それでいいんだよ。 そうなんですよね…。試験を受け始めた時はずっとサッカーを“引け目”に感じていたんですよ。でも面接試験で「じゃあ、サッカーをやっていたなら、何でもいいからサッカーの場面を架空実況してよ」と言われて、あとで考えればアナウンサー試験なんだからあたりまえの質問だと思うんですけれど、その時はそんな質問に本当にびっくりして…でも10秒ほど時間をもらって腹をくくってから「えい!」と実況したんですよ。 なんだ、一応それまで練習はしていたんだ。 いえ、その時が生まれて初めての実況、というか、それもどきだったんですけど…僕がやってきたのはこれしかないんだと思ったら、なんだか言葉が出てきて…いや、もちろん今考えれば恥ずかしいしゃべりですよ…でも自分でも驚きました。 凄い凄い! そうそう。だから例えばゴルフをやっていた事も素晴らしいわけですよ。もう、汗みどろになって、ゴルフバッグ両脇に抱えて、首に手ぬぐい巻いて…。それが多分、“上山千穂の魅力”となったから、採用されたんだと思うんだよね。 そうそう。体からにじみ出てくる…。上山も実況したの? う〜ん、私の場合はそれ以前の問題でして、最初に試験会場に入って「じゃあ、これを読んでください」、「じゃあ、フリートークしてください」とか、今までの人生で経験したことのないようなことが突然起こるわけで、かなり面食らったんですよ。でも、初めて原稿を読む事も、とりあえず“今の自分”をベースにしていくしかなかったので、体育会系の「ナイスショットです!」というノリで、大きな声で読むしかなくて…。もう突き当たる壁をぶち破るみたいな感じの試験でしたね。 それでいいんだよ。そもそも我々は上手に読めるとは思ってないよ。上手に読むっていう事は要求してないんだもん。…でも「ナイスショットです!」って読んだの? いや、ノリです。声の出し方の発想としてはということです・・・。モジモジ読んでも仕方がないので・・・。 でも「ナイスショットです〜っ!」って感じでやんたんですよね。わかりますよ〜(笑)。 わかるわかる〜。 でも、その根性なんだよね。それも大学時代の1ページなわけ。いろんな経験をしてきたっていうのをそのまま試験で出して欲しいわけ。だから、もし放送研究会だったら、例えばラジオのディスクジョッキーの真似していたのなら、それをそのままやってくれればいい。変に隠すことは全くない。あくまでもクラブ活動が放送研究会であったり、サッカーであったり、ゴルフであったりする、その違いだけだよ。 じゃ、特別にしゃべりを練習したとか、人より何か出来るとか、そういうことでなくても自信を持って臨んでいいんですね。 そうだね。我々が望むことは、一生懸命4年間の大学生活を送っておいてほしいなっていう事だね。 そうですよね。それをまずどう表現できるかということですよね。それに、それまで一生懸命じゃない人が、会社入って急に一生懸命になれませんもんね。 仮に、試験官を巧妙に欺いて、入社したとしても、苦労するのは本人。キラキラ輝いて生きてきた人がアナウンサーになって、初めてテレビの前で、ブラウン管の中で光るわけだよ。それは、アナウンサーとして、まだまだ喋りが稚拙だったり、原稿を読んでいて変な間違いをしたとしても、“光り輝いてる”っていうのが一番大事。“そのために生きてきた”っていうのが一番大事。 一生懸命じゃない人は見たくないですもんね。
<<一同爆笑>>
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