『悲しいボーイフレンド』レビュー
〜心を静かにえぐる80年代ポップス〜
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大好きな曲を聴きながら、
「その歌に自分が映像を付けるなら、どんな映像になるんだろう？」
そんなことを考えながら何度も何度も繰り返し曲を聴くのがわたしの趣味です。
暗い？そんなことありません。
そんなわたしのささやかな楽しみに似た手法（？）が取られた映画、
それが CineMusica というもの。
恥ずかしながら、今回初めて知りました。
わたしの大好きな曲でも作ってもらいたいです。
映像と音楽のコラヴォレーション・ムービーシリーズ-CineMusica-の
最新作がこの『悲しいボーイフレンド』という作品。
この映画の予告を観たのは深夜の仕事帰りのタクシーの中。
主演が『相棒』でお馴染みの寺脇康文さんだということと、
映画と音楽のコラボってことがとっても気になって、観て来ました。
寺脇さんは意外や意外、これが単独では初主演なんだとか･･･。
『相棒』では見られなかった雰囲気が楽しめます。
主人公・岩津（寺脇康文）は37歳独身。製薬会社で働く営業部の課長。
毎日仕事に追われるばかりで、
平々凡々な生活を送っているいわば普通のサラリーマン。
寺脇さんのイメージはフライトジャケットに、ワークパンツ。
スーツにネクタイという姿は新鮮でドキっとしますヨ。
そんな彼のもとに、突然（それはもう本当に突然でした！）
「卒業写真を見て好みだったから会ってみたかった！」
と謎の少女・カナ（寺島咲）が現れます。
透き通るような美しさのカナ。
真っ直ぐな黒い髪、切れ長の目は神秘的ですらあります。
会った途端、彼を翻弄するカナ。
岩津はカナの言うままに連れられて、故郷の三ノ宮まで戻ることに…。
岩津に次々と質問をぶつけるカナ。
最初は疑いも無く素直に答えていましたが、
次第に自分の忘れていた過去や心の中に鍵をかけてしまっておいた記憶と
対面せざるをえなくなってしまいます。
徐々に暴かれていく真実―。
この映画、おそらく主人公の岩津と同い年くらいの皆さんの心を
静かにえぐるに違いありません。
80年代のポップで古き良きサウンドと、
若くてみずみずしい渡辺美里さんの歌声が
ぎゅううううと青春時代の風景を色鮮やかにしてくれるスパイスになっています。
映画のタイトルと同じ「悲しきボーイフレンド」という曲。うう〜切ない！
皆さんにも、昔の恋人のことを思い出しながら聴いて欲しい一曲です。
今わたしもこれを書きながら、YOUTUBEで聴いています。
わたしも、それなりに心がムズムズ…！？
♪悲しきボーイフレンド
今はもう友達を越えられずに
悩みを聴いてくれるだけの人ね
あなた…
岩津もまたこの歌が流れる中、
中学生の頃の切ない恋の記憶を思い出すことになります。
若すぎる彼にはどうしようもなかった、
きっと皆さんにもあったはずの切ない初恋のたどり着く場所は…！？
あまりにもほろ苦く、甘酸っぱい結末です。
カナの正体もその中で明らかになっていきます。
♪何も言わないで 何も聞かないで
出来るだけ冷たくしてて
彼氏は優しいの？うまくいっているの？
あなたが尋ねる全部はどうして
昔以上でも それ以下でもない
お願い冷たくしてて
大人になってからの恋とは違って、中学生や高校生の恋というのは
なんだか特別で複雑な壁が多かったようにも思えます。
自分自身が半熟卵みたいなものですから、それは無理も無いのかなぁ？
親や学校の反対を押し切って、友達の冷やかしにも負けないで、
受験勉強や部活動にも支障が出ないようにうまくつきあう…
なんて若いうちはとっても難しいことですものね。
だから心の中では甘く切ない淡い思い出であるわけだし、
日が経つにつれて思い出は勝手に色を変えがちです。
そして都合良く変えてしまうことも多い。
ついこの前だったような気がしているのに、
そうこう言っている間に自分自身はどんどん大人になってしまいます。
あんな恋、十数年も経ってしまえば笑って話せるような恋のはずでしょう？
なんて思っていても…もし相手はそうでなかったら、どうしますか？
あなたの名前を聞くだけで、胸が締め付けられるように切ない思いをしていたら？
この映画を見たら、きっと昔の自分を紐解きたくなると思います。
「あの時のわたし」を探しに旅に出たくなること間違いありません。
それは「今のわたし」を見つける、確認する旅でもあるように思います。
そしてうんと若かった時、
好きだった人は今どこで何をしている人になっているのでしょう？
切れてしまっていると思っていた糸は相手からすれば切れていなかった。
ずっとずっと繋げていたかった糸だった、としたら…？
どこにでもいる普通のサラリーマン・岩津のもとに突然現れた
強烈な色彩の夏の恋物語です。
『悲しいボーイフレンド』
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◇矢島悠子の近況◇
新しくカメラを買いました。
見た目も機能もとっても気に入っています。
これでまたアナウンサーズの姿をおさめたいです。
ではまた次回！ |
シリアスな表情ですが見ている先は温かいおでんです…。 |
