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身長
165cm
出身地
神奈川県川崎市
出身校
神奈川県立多摩高校→
中央大学文学部
入社年月日
2005年4月1日
星座
獅子座

2019/8/27 だけじゃないトリエンナーレ

8月1日から開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」。
開催から一週間ほど経った頃、取材に行ってきました。

「あいちトリエンナーレ」は皆さんもご承知のように
「表現の不自由展・その後」の展示中止をめぐる一連の出来事で、
かなり注目されてしまいましたが、
他にもたくさんの優れたアーティストたちによる、
実験的で好奇心溢れる作品がたくさんあります。

今日は実際にわたしが見てきた「だけじゃないトリエンナーレ」について書いてみようと思います。

「あいちトリエンナーレ」の主な会場は
名古屋市内と豊田市内の2つに分かれます。

名古屋市内では愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、
そして名古屋市内の今注目されているスポットのひとつ四間道(しけみち)と円頓寺(えんどうじ)エリア。

豊田市内は、豊田市美術館と豊田市駅周辺です。

今回はこのすべての会場を見て回りました。
愛知県は、東京に負けず劣らず?それ以上?暑い日だったのですが
お客さんも大勢来ていました。

今回、津田さんが芸術監督として
もっともこだわった点というのが、国内外から参加した
90組以上のアーティストのジェンダーバランスを男女半々にしたことです。

日本の美術界を調べると、美大の入学者の男女比率は
7割ほどが女性であるにも関わらず
美大の教員の比率を見てみると男性が9割ほどという事実がわかりました。
さらに日本で過去に開かれた国際芸術祭も参加アーティストは
圧倒的に男性が多かったといいます。

この試みは日本の芸術祭では初めてのこと。
参加アーティストからも
「美術界の外からきた津田さんだからできたこと」
「これまで取り沙汰されてこなかった」
「たいへん意義深いこと」という声がある一方で
「どういう風にバトンを受け取ってやっていくかが問われている」
「これからが勝負なんじゃないか」という声も聞かれました。

作品についてもいくつか書いてみます。
(ここに羅列したアーティストの方の中には現状、
展示が一時中止になっている方もいます)

青木美紅さんの美しいラメの糸で刺しゅうされた絵画や、
ゾートロープという連続絵での表現も
なぜだか郷愁を誘うような世界観でとても印象に残りました。

CIR(調査報道センター)のアニメやヒップホップなどの手法を使って
取材結果を表現する方法にも刺激を受けました。

今村洋平さんのシルクスクリーンの予想もしない使い方に驚き、
石場文子さんの写真表現は、私自身も好きな写真というものに対して
の考えを改めさせられる作品です。

モニカ・メイヤーさんの参加型の展示には
多くの女性が集まっていて多くの気づきが得られました。

スタジオ・ドリフトの花のような?羽のような?
ふわふわと動き出す不思議な作品は何時間見ていても飽きません。

高嶺格さんの廃校を使った作品は「壁」を前に様々なことを考えさせられます。

中でもわたしが一番楽しい気分になったのはトモトシさんの作品です。
駅前に遺跡を作り、そこにストーリーを与えるその発想力もさることながら地元の住民の皆さんを巻き込み、防犯カメラと実況中継という、
まさかすぎる手法で見せていく…
どこを取っても豊かな発想でとても面白かったです。

普段から美術館や博物館には意識して訪れるようにはしているのですが
その理由はひとえに「本物を自分の目で見ること」に
億劫にならないようにするためです。

芸術作品の前に立つ時、
自分の感性がアーティストの意図をくみ取れるか
緊張の瞬間が必ずあります。

このトリエンナーレでも
きっとそんなわくわくした瞬間に出会えることがたくさんあるはずです。

ぜひ、ご自分の目で、
トリエンナーレの作品を目の当たりにしてください。

「あいちトリエンナーレ」そのものは、現在も開催中です。
暑さが落ち着くであろう10月14日まで続きます。
暑いからとあきらめている皆さん、まだチャンスはありますよ!

ではまた次回!

ちなみに、次回のCS「津田大介日本にプラス」の放送は
9月1日(日)午前10時から2時間の放送です。
テーマは「”表現の不自由展、その後“中止問題…津田大介がスタジオで語る
▽”ネット世論”屈指のエキスパート4人が集結してあぶりだす
誰もが気になるが、よく分からない“ネット世論”の正体」

ゲストは、田中辰雄(慶応義塾大学教授)さん、
辻大介(大阪大学大学院准教授)さん、古谷経衡(文筆家)さん