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8月30日 中国映画はお好きですか?
「一日くれたら、世界を見せてあげる」。
この映画の舞台となる中国・北京の世界公園という場所は、実在するアミューズメントパークである。エッフェル塔やピラミッドなど世界40ヶ国のモニュメントが広大な敷地に縮小・再現されている。
謳い文句は「北京を出ないで世界を回ろう」。そういえば、こうも書いてあった。「一日くれたら、世界を見せてあげる」。そこはまさに夢の世界だ。 主人公タオ(桃と書いてタオ、なんとも可愛い)は世界公園で働くダンサー。後輩ダンサーから「姐さん」と慕われ、毎日きらびやかな衣装をまとって舞台に立っている。何の不足もないかのように見えるタオの生活も舞台裏では不安定なことばかりだった。恋人とのあいまいな関係、同僚の結婚・・・。そしてタオを取り囲む人々にもそれぞれの不安とドラマがあった。
夢を売る舞台裏、それこそが本当のドラマだったのだ。
北京オリンピックを控えて凄まじいスピードで変化を遂げる北京というひとつの都市。そしてそれを作り、追いつこうと必死になる人々。一生懸命で真っ直ぐで、だけど少し空虚で・・・観ているわたしたちの心は夕焼けを見ているときのような感傷に浸っていく。
中国映画の魅力は「生命力」の描き方にあると、私は思っている。実際に私自身何度か中国を訪れたことがあるのだが、やはりその時も中国の魅力は人々の「生命力」の強さにあったと思う。
とにかく街ですれ違う人が、みんな揃って「生きる」ということに真正面に向かい合い、ガムシャラなのである。私のような小娘が言うのも生意気に聞こえてしまうのだが、本当にこちらが照れくさくなってしまうくらいみんなが一生懸命なのだ。瞳の中の芯がしっかりしているという表現が正しいのかはわからないけれど、ボンヤリ生きている人にはない熱いものを感じるのである。
「私、あんなに真剣に生きているかな?」と自分に問い掛けたくなる。羨ましいなぁ、なんかカッコイイなぁとまで思う。
映画『世界』は、わたしが感じてきたその「生命力」がすぐそこにあって触れられるかのように新鮮に描かれている。映画のそこかしこから、中国のにおいが漂ってくる。
その新鮮さ、美味!
この気持ちはかの国を訪れたことのある人ならすぐ納得してくれると思う。
ぎゅうぎゅう詰めのバスの中
世界公園内の場内アナウンスの高くて甘く響く中国語
踊り子たちが使う水道場
その場所で生きている彼らの姿は手にとるようにチュウゴク、チュウゴクしている。ハッとするくらい新鮮に…。
あぁ、なんだか北京に行きたくなってきたゾ。
♪作品データ♪
『世界』
監督・脚本:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
出演:趙涛(チャオ・タオ)、成泰シェン
配給:オフィス北野、ビターズ・エンド 2004/133分
※秋頃 銀座テアトルシネマでロードショー
<近況>
甲子園から帰ってきました!最初は日焼けもたいしたことがないと思っていたのですが、日に日に黒い色素が沈着してきたような…。
当初不安で仕方がなかった甲子園での日々は本当に素晴らしくて、毎日が忘れられない日になりました。朝日放送の同期の仲間も本当にいい仲間ばかり!いつかまた一緒に仕事が出来たらいいなぁと思っています。
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