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物語は、お葬式から始まる。
結婚式の直前に、婚約者の女性が流れ弾に当たって死んでしまうのだ。
花婿のジョーはそのまま彼女の両親の元に残るけれど、ジョーは言えなかった。
本当は、事件の3日前に彼女と別れていたことを。
娘を亡くした悲しみにくれる両親の気持ちが分かるから、そこにとどまる。理想的な娘婿として。
なのに、ジョーは郵便局で働くバーティに恋をしてしまう。彼女は、ベトナム戦争に行ったまま3年間行方不明の夫を待っている。
お互い過去を抱えているからこそ、惹かれあったのか。
ジョーがバーティに聞く。「彼をどうして忘れないのか?」
「愛してくれたから」と、バーティ。
・・・・・・
「愛してくれた」ということ。
それは、「愛した」という一方的なものではなく、「愛された」という心地よさでもない。
「愛してくれた」というのは、なんと人をがんじがらめにするものなのか。
この一言が、二人の立場を表しているのだろう。
どこにも行けない、二人。
人の気持ちは本来自分勝手であるはずで、好きになるのも、嫌いになるのも自由。
そのために眠れない夜だってあるのだから。
だから、夫が帰ってこないなら、新しい生活に踏み出せばいい。
婚約者が亡くなってしまったなら、新しい伴侶を探せばいい。
なのに、この二人は、なにも決断できないでいるのだ。
「愛してくれた」人がいるから。
「愛してくれた」ことには、愛された実感と愛されたことへの感謝が含まれているのでしょう。
裏切れないのは、愛への感謝。
身動きが取れないのは、心の枷。
一足早く真実を見つけたバーティがジョーに言う。
「本当のあなたはどこなの?」
愛されることは、幸せに見える世界にとどまっていることだ。
でも、本当の自分は、愛することでしか見つけられない。
まわり道をしながらも、本当の自分を見つける彼ら。
一歩踏み出すことは、裏切ることではなかった。
愛してくれた人の分まで、体に染み込ませて、人を愛す。
愛は足し算。二人の道は愛した数だけ長くなるのでしょう。
ムーンライト・マイル・・・月が照らす道のりは、どこまでつづくのか。
誰かを愛することが、月が地球を照らす道のりであるならば。
エンドロールをみながら、こう思ったのだ。
月に行って帰ってくるくらい、むちゃくちゃに愛そう。(そうだ、そうしよう。)
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| 新しいアナウンス部で松井さんと中丸くんと一緒に |
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■作品データ/『ムーンライト・マイル』
監督・脚本・製作:ブラッド・シルバーリング
撮影:フェドン・パパマイケル
美術:ミッシー・スチュワート
音楽:マーク・アイシャム
音楽:アラン・シルベストリ
出演:ジェイク・ギレンホール、ダスティン・ホフマン、
スーザン・サランドン、エレン・ポンペオ、ホリー・ハンター、他
配給:ギャガ・ヒューマックス/2002年/アメリカ/116分
※6月下旬、みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
■『ムーンライト・マイル』公式サイト
http://www.moonlight-mile.jp/
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