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6月5日 今回は『ムーンライト・マイル』をご紹介!

 
物語は、お葬式から始まる。 
結婚式の直前に、婚約者の女性が流れ弾に当たって死んでしまうのだ。 
花婿のジョーはそのまま彼女の両親の元に残るけれど、ジョーは言えなかった。 
本当は、事件の3日前に彼女と別れていたことを。 
娘を亡くした悲しみにくれる両親の気持ちが分かるから、そこにとどまる。理想的な娘婿として。 
なのに、ジョーは郵便局で働くバーティに恋をしてしまう。彼女は、ベトナム戦争に行ったまま3年間行方不明の夫を待っている。 
お互い過去を抱えているからこそ、惹かれあったのか。 
ジョーがバーティに聞く。「彼をどうして忘れないのか?」 
「愛してくれたから」と、バーティ。 

・・・・・・ 

「愛してくれた」ということ。 
それは、「愛した」という一方的なものではなく、「愛された」という心地よさでもない。 
「愛してくれた」というのは、なんと人をがんじがらめにするものなのか。 
この一言が、二人の立場を表しているのだろう。 
どこにも行けない、二人。 
人の気持ちは本来自分勝手であるはずで、好きになるのも、嫌いになるのも自由。 
そのために眠れない夜だってあるのだから。 
だから、夫が帰ってこないなら、新しい生活に踏み出せばいい。 
婚約者が亡くなってしまったなら、新しい伴侶を探せばいい。 
なのに、この二人は、なにも決断できないでいるのだ。 
「愛してくれた」人がいるから。 
「愛してくれた」ことには、愛された実感と愛されたことへの感謝が含まれているのでしょう。 
裏切れないのは、愛への感謝。 
身動きが取れないのは、心の枷。 

一足早く真実を見つけたバーティがジョーに言う。 
「本当のあなたはどこなの?」 
愛されることは、幸せに見える世界にとどまっていることだ。 
でも、本当の自分は、愛することでしか見つけられない。 
まわり道をしながらも、本当の自分を見つける彼ら。 
一歩踏み出すことは、裏切ることではなかった。 
愛してくれた人の分まで、体に染み込ませて、人を愛す。 
愛は足し算。二人の道は愛した数だけ長くなるのでしょう。 

ムーンライト・マイル・・・月が照らす道のりは、どこまでつづくのか。 
誰かを愛することが、月が地球を照らす道のりであるならば。 
エンドロールをみながら、こう思ったのだ。 
月に行って帰ってくるくらい、むちゃくちゃに愛そう。(そうだ、そうしよう。)

新しいアナウンス部で松井さんと中丸くんと一緒に
作品データ/『ムーンライト・マイル』
監督・脚本・製作:ブラッド・シルバーリング
撮影:フェドン・パパマイケル
美術:ミッシー・スチュワート
音楽:マーク・アイシャム
音楽:アラン・シルベストリ
出演:ジェイク・ギレンホール、ダスティン・ホフマン、
    スーザン・サランドン、エレン・ポンペオ、ホリー・ハンター、他

配給:ギャガ・ヒューマックス/2002年/アメリカ/116分

※6月下旬、みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

『ムーンライト・マイル』公式サイト
http://www.moonlight-mile.jp/

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