ふと見上げた空が、手を伸ばしたくなるほど高かったり、
通りぬける風がからっとして肌を滑っていったりとか、
秋は外を歩いているだけで心地いい。
一日の大半をビルの中で過ごしていると、季節から離れていってしまう。
ビルの中では何月何日ということが、ただの数字にしかならない。
だから、時々外を歩いていると、
自分の中に飛込んでくる「秋の気配たち」に、はっとしてしまう。
いつのまにか季節は流れていく。
流れていってしまった時間に対する、少しの心細さ。
その頼りない気持ちを、今はジャケットがつつんでいる。
コートがつつんでくれる頃は、何を感じているのでしょう。 |