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Vol.26  「voice3」  (2003/03/17)

先週末に行われた、テレビ朝日アナウンサーの舞台「voice3」。
私は吉野弘さんの「虹の足」を朗読した。
小学生の時に出会って以来、忘れられない詩だ。

当時、進学塾に通っていた。
受験問題が並ぶ分厚いテキストに、この詩と、
いくつかの設問が載っていた。

〔問い〕作者は「幸せ」とは何だと言っていますか。
20字以内で答えなさい。

あの頃の私は、何と答えたのだろう。

12年後。
劇場には、当時の国語の先生が来て下さった。
20字で記した、鉛筆書きの「幸せ」。
今度は声に乗せて、舞台の上から届けたい。
そんな思いでいっぱいだった。

「・・・おーい、君の家が虹の中にあるぞォ」

ずっと大好きだった詩。
あの時、先生はマルをくれたのだろうか。
客席に虹は、架かるのだろうか。

公演後、先生から花束を頂いた。

「祐子の朗読、今教えている生徒たちにも聞かせたかったなぁ」
この詩は今でもテキストに載っているという。
空中に、特大の花マルをもらった気がした。
   
 
 
    
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