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Vol.15  「消えゆくこと」  (2003/01/28)

小さい頃、きれいなものを見る度に、
「いつまで続くのだろう?」と思った。
花火は、消える。
パレードは、去る。
夕陽は、沈む。
何故か、目を逸らしたくなったことを覚えている。

消えゆくことが自然でも、持続を求めてしまう。
例えば、シャボン玉。
はじける前に、束ねて、首飾りにしたかった。

大きくなってから、エジプトの砂漠で夕陽を見た。
金色に縁取られた地平線。
その後の、夜の闇。
果てしない喪失感の中で、ふと感じた。
「そうか、闇があるから、輝くのか」

消えてしまうことは悲しい。
しかし、それを認めることで、今あるものへの覚悟が出来る。
残像を、記憶することも出来る。

そう思うと、昔に比べて、少しほっとする。
   
 
 
    
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