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Vol.55 「失敗」(2007/10/01)
『日刊ゲンダイ』に連載中のエッセイにて、
“アナウンサーの仕事”をご紹介しています。
お化粧や衣装に続き、今回は技術面のことを。
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「これまでに、仕事上での失敗はありますか?」
インタビューやアンケートでは、必ず聞かれるこの言葉。
あります、あります。特に新人の頃は数多く…。
初めてのスタジオで、「村上祐子さんです」と紹介された後、
自ら「村上祐子サンです!よろしくお願い致します」とぺこり。
同じく生放送中、おもちゃの車に試乗した時、
ブレーキを踏み間違えて思い切りスタジオセットにずどーん!…など。
その度に皆さんに助けてもらい、
帰り道には、頭の中で反省会を開きながら自分を元気づける為のケーキを買いに行くのが常でした。
入社7年目ともなれば、大きな失敗は減るものの、
やはり、日々は反省の連続です。
例えば、夕方のニュース番組にて。
「野党の民主党が…」を、何を焦ったのか、「野党の“みんすとう”が…」
心の中では、「しまった!!どうしよう!!!」と大騒ぎ。
しかし、ここからが、身を以って得た教訓です。
過去を引きずるな。
すぱんと断ち切って、さらりと次へ進む。開き直るのではなく、あくまでも平常心で。そうしないと、その先も悲惨な状況になってしまいます。
「あぁ…今、みんすとうって言っちゃったよ…」などと思いながら次に行くものだから、スポーツコーナーでは「ヤンキースの松井せんすが…」なんてことが起きてしまいます。
もちろん、致命的な誤読は、きちんと訂正しなければなりません。
となると、事前に計っておいたニュースの秒数+αが発生するので、
訂正コメント分の数秒を、その先のニュース原稿から削ります。
「大変失礼致しました」…で、約3秒。
結果、どこかで全体の時間調整を行うことになり、またまた大混乱。
そんな時、隣で同じくニュースを読んでいる先輩は、決まって大きく頷いてくれます。
原稿に目を向けている私の視界にも入るぐらいに、こくんと。
「大丈夫、大丈夫」無言の優しさです。
スタジオのADさんも、カンペ(指示を書き込んだボード)に大きく
「次、
村上さん読み
です」とフォローしてくれます。
年季の入った、ADさん自作のカンペ
ひとり反省会は、オンエアの後で。
もちろん、ミスをしないことが、大前提ですが…。
オンエア後、ADさんたちと一緒に
(「日刊ゲンダイ 週末版」10月1日発刊)
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